携帯小説!(スマートフォン版)

[955]  hiro  2009-05-23投稿
私はある日、檻の中に閉じ込められた。
理由はわからない。なぜ私をこんな所に…。
とにかくかなり長い間、ここに閉じ込められている。
でも私をこの檻に入れた人間は、私を殺すつもりはないらしい。
なぜなら、毎日私に食べるものをくれるからだ。
その檻にある頑丈な扉を開けて、食べ物を雑に置いていく。
私はそれを仕方なく食べる。食べないと死んでしまうから。
それからこの檻の中にはトイレも用意されていて、外に出られないこと以外、特に不自由はなかった。
私をここに閉じ込めている人間は、一体何がしたいのだろうか。
あいつの目的は?
まさか、こうやって私を油断させておいて、結局は私を殺すつもりではないか…。
長い間私を閉じ込めて、十分に孤独を味あわせてから殺す。
ありえる。それなら、あいつはどうやって私を殺すのだろうか?

もしかしたら、私を餓死させるつもりかもしれない。
きっとそうだ。この頃、食事の回数が減っている気がする。
そのうちに、全くくれなくなるに違いない。
そう思うと私は今すぐにでも、この檻から逃げ出したくなった。

それからしばらく考えた後、私は決心した。
脱出だ。
作戦はちゃんと練ったつもりだ。

そこで、いつものようにあいつが頑丈な扉を開けて私に食べ物を出してきた。

今だ!

私はあいつの指に思い切り噛み付いた。
「いってえなあ!」
あいつがそう言って怯んでいる瞬間に、私は扉から外へ飛び出した。
必死に走っていると、あいつが両手で軽々しく私を持ち上げた。
「こらぁ!逃げちゃだめだろ」
それから私の体が大きく上下に揺れた。
「お前、最近太ってきたな。やっぱりダイエットさせないと」
そして、私は再び檻の中に入れられた。
「大人しくしてろよ。罰として今日はこれだけだ」
そう言ってあいつは、私にヒマワリのタネをくれた。

私はやっと理解した。
死ぬまで檻の中で地味に生きていく、
これがハムスターのサダメなのだと。

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