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君からの手紙〜24〜

[449]  YOSI  2009-05-28投稿
「嘘だろ?悪い冗談だよな?」
奥村のあまりに衝撃的な話に、秀は、そう言うのが精一杯だった。
「いえ、もっと早く発見出来れば良かったらしいんですが…俺頑張り過ぎたかもしれませんね…」 「俺のせいだな…俺さえ、あの歌を口ずさんだりしなければ、無理させずにすんだのに…」
「違いますよ。医者の話じゃ、あの曲に俺が出逢う前から、腫瘍は出来てたらしいんです。でも俺後悔してないスよ」
「そんな…」
秀はいたたまれなかった。
「俺、悔しいです。なんとしてでも、あの曲を…」
「もう、いい」
秀は、奥村の気持ちを理解しているものの、さえぎった。
「奥村、もういい。俺、お前にどうしてやることも出来ない…だけどもう仕事のこと考えるのは止めてくれ。少しでも長く生きてくれ」
「秀さん…俺何か残したかったんですよ。何かやれたってこと…」
「一生懸命仕事してたじゃないか…それで充分だ」
「でも…」
「奥村、残された時間、楽にしてろ。これは、先輩としての、お願いだ…」
「…わかりました。秀さんあと、俺からもお願いがあるんですが」
「なんだ?」
「俺の病気のこと、彼女には言わないで欲しいんです」
「何度か話してくれている子のことか?…でもなんで?」
「俺なんかの為に、彼女の頑張りを邪魔したくないんですよ。通訳を目指して、今、海外にいるので…」
奥村の真剣な眼差しに、秀は、その願いを受け入れた。
「わかった…それでいいんだな?」
「ええ…」
やりきれないながらも、秀は病室を後にした。
「あれで良かったんですか?」
一部始終を聞いていた看護婦が入ってきた。
「ええ…。あなたもお願いします。親にもお願いしてるので…」
「でも…」
「お願いします。俺がこんななんで。頼みます」
「…わかりました。でも…本当にいいんですか?」
「ええ。それと、もう一つお願いが」
「なんでしょうか?」
そして、奥村は、この看護婦にある大事なお願いをした。
重い願いだった。
それから、3ヶ月後、奥村は亡くなった。…それからほどなくして、彼女は辞職した。
また、秀も会社を辞めていった。
様々な思いを残して…

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