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君からの手紙〜25〜

[481]  YOSI  2009-05-30投稿
「なあ、由美本当にいいのか?」
「うん、もう決めたことだから…でもごめんね。お兄ちゃん、私1人で良かったんだよ。実家に帰るの…」
「いいさ。もともと、北海道の人間だし、なんとか向こうで職も見つけたし」
由美は、自分の決断が正しかったのか、この何日間、自問自答していた。
それでも、勇一の悲しい顔は見たくなかった。
恨まれたっていい、自分の体が弱くなる前に、去っていこうと決めた。
そして、3通の手紙をしたためて、東京を去っていくことも決めた。
…もう一つ、気になっていたことがあった。
自分がガンであることがわかって、勇一と、最後のデートで、ストリートライブで聞いた曲…
悲しげな曲だった
何とゆう曲なんだろう。
「ただ…ありがとう ただ幸せでした」とゆうフレーズで終わるのだが、その歌を歌っていた男は、タイトルをゆうこともなく、顔も帽子をかぶり、サングラスをかけていた。
そのことも手紙に書いておこう…
「お兄ちゃん、お願いがあるんだ」
「ん?何?」
「私ね…3通の手紙を書いたんだ…」
「ああ」
「もし…もしだよ
15年後、お兄ちゃんが忘れてなかったら、この手紙を勇一に届けて欲しい」
「15年後?なんでそんなに経ってからなんだ?」
「きっと、その時には勇一も幸せになってると思う…その時なら、勇一を苦しめないかなって…」
そうだろうか?
実際、由美の病気がわかってから、何度、勇一に言うか迷っていた。
だが、由美は自分がガンとわかってから、頑なに、嶋野に口止めをし、勇一に知られないようにしていた。
「わかった…。」
嶋野は妹の願いを聞き入れた。
「そうだ…お兄ちゃん。聞きたいことがあったんだけど」
「何?」
「お兄ちゃん、好きな人いなかった?会社に」
「いたよ」
「いいの?何も言わなくて」
「俺の片思いだしさ。もう未練はないよ」
「本当に?」
「ああ…それに、最後まで、お前の病気と戦うよ。いや、戦わせてくれ」
嶋野のその言葉に、嬉しさと兄に対する申し訳なさで泣きだした。
「ごめんね…お兄ちゃん、本当にごめん」
「いいよ」
翌日、2人は大家に挨拶を済ませ、由美は勇一への思いを残し、嶋野は様々な思いを胸に東京を去っていった。
数カ月後、由美は、この世を去った

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