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神の丘〜歩み〜?

[600]  佐奈  2009-05-30投稿
「“天の国の鍵”の装飾には、エレミヤでしか取れない最高級の鉱物が使われていると聞く。あれ自身、数億の価値があるそうじゃ。マリアのコレクターとしては、最高級の一品ですな。ヒィッヒィッ!」

黄色い炎が揺らぐ。

「‥なるほど、有難うございます。そろそろタバコに火を付けたいのですが、外に出てもいいですか?」

「‥よかろう。己の任務と四彩の炎、忘れるでは無いぞ」

「この任務につけたことに、心から感謝の念を‥」



青い空に響き渡るヘリコプターの遠い音。空に昇るタバコの煙は、そよぐ風にのり、次第に消えていく。


『しかし、あの男に任せて良いものなのか?』


緑に囲まれた公園内には、観光客の人だかりと、中央の大統領府を守る衛兵が巡回していた。


『SPS訓練所で最も志願率が低い部隊“エデン”の唯一の卒業者』


大きな公園を抜け、市街地に入る頃、公園内からの懐疑が確信へと変わる。グレイは立ち止まり、二本目のタバコに火を灯す。


『最終試験は、200人のテロリストの村を7名の部隊で殲滅する事』


空を見上げ、“やれやれ”と呟く。


『‥火薬と血の臭いが漂う中、彼は一人、コーヒーを飲みながら本を読んでいたそうだ‥雲のように掴めぬ男だ。グレイ・ヴィルソン』


グレイは薄暗い路地に足を向ける。人通りの無い通路にグレイとその後を追う二つの影。

グレイは立ち止まり、後ろに居る二人の男に問いかける。

「‥何の用だ?」

一人の男がすぐさま答えた。

「お前が“マリア”だな」

振り返り、柄の悪い二人の男に答える。

「人違いだ」

「いいや、間違いない!その顔!ドルス美術館から逃げるあんたを、俺は見たんだ!あんたの持っている“ウイルスデータ”こっちに渡してもらおうか!」

二人の男は銃を抜き、グレイに向けた。

「…お前は、何を見た?」

「・・・なに?」

グレイはうつむき、ゆっくり男に近付く。

「おっ、おい!‥この銃が見えないのか!?」

異様な不陰気に手元の銃が震える男。そして、銃を持つ手に激痛が走る。

「いぎゃあああ!!!」

つづく

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