携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> ファンタジー >> ロストクロニクル7―17

ロストクロニクル7―17

[345]  五十嵐時  2009-05-31投稿
タクトはすぐにはパールの言葉が素直に受け取れなかったが、今までの状況を振り返ってみれば、パールの言っていることも頷ける点があることに気付いた。
「ほら、あれを見て」
パールの指さした方を見てみると、自分の姿とウェドとフラットの追い回されている姿が鏡の中にあった。
「大変だ!早く助けないと!」
「ちょっと待って。その前にこれを」
パールから手渡された物は、ちいさな飴玉だった。パールはこの飴玉をなめているようだ。
「これは?」
「この世の全ての自分の分身を一時的に消す薬よ。・・・例えば、鏡の中の自分とか自分の影とか、彼女は鏡に写った者に攻撃をすることができるから」
パールは左手に手袋をはめながら答えた。
タクトは飴玉を口の中に入れた。すると、鏡の中の自分の姿は消えてしまった。
「その手袋は?」
パールは慎重に鏡を見ながら位置を見極めると
「ここだわ」
左手をつきだした。
すると、再びあの黒い穴が現れた。そして、鏡の中にも同じく黒い穴が現れた。
「ウェド!フラット!この中に入って!」
鏡の中の黒い穴にフラットが駆け込む、それに続いてウェドも駆け込んできた。鏡の中の黒い穴に入ったウェドとフラットは、パールが目の前で作り出した黒い穴の中から出てきた。
「二人ともこれを口に入れて」
言われるがままに二人は飴玉を口に放り込んだ。
「パール!どうしてあなたがここに!」
鏡の中に取り残されたダイヤがパールを睨んだ。
「あれ〜?おかしいわね。『双滅珠』をなめてるのにあなたの姿が消えないなんて」
「当たり前でしょ。わたしはダイヤであって、パールじゃないもの」 パールとダイヤは鏡越しに睨みをきかせている。
「う〜ん、なんていうか、奇妙な感じですね。パールさんが鏡に向かって独り言言ってるみたいで」
フラットがポツリと呟いた。
「フラット」
「はい?」
「黙れ」
ウェドはフラットの頭を叩いた。
「これで勝ったと思わないことね」
ダイヤは不敵な笑みを見せると鏡の中の鏡の中にスペードと共に消えてしまった。

「パール、今までどこにいたんだい?」
タクトたちは鏡の宮殿を出て、適当な家を見つけ、その中で休むことにした。
「実は、ここから少し南に行ったところに大きな建物があったの」
パールは今までのことを語り出した。

感想

感想はありません。

「 五十嵐時 」の携帯小説

ファンタジーの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス