ほんの小さな私事(10)
こうして、弓道部に所属する事になったものの、本格的に活動するのは明日からになるので、あとは、高野さんと学校内を見学して回る事にした。
他に気になっていた事の一つに、図書館の場所と、どういった書物があるのかも簡単に見ておきたかったのもあるので。
幸いな事に、高野さんが図書委員という事で、図書館を利用するのも気楽に出来そうなのが助かる。
「沙羅ちゃん、見た感じ、本読むの好きそうだもんね。どんな本読むの?」
「ええと…良く読むのは、地方の歴史について書いてある本だったり、地理についての本だったりとか…。」
「へぇ〜、知的だねー。私なんかは、恋愛小説とか、ミステリーとかファンタジーとか、そういうのばっか。最近だと、西村京太郎かな〜?」
勿論私も、たまにはそういった本を読むことはある。しかし、それより優先して読みたい本が、自分の持っている力や、それに関する手掛かりを求める目的でチョイスされるだけで、必然的に、歴史書などが多くなるというだけである。
しばらく、本の事などについて話しつつ、二人、図書館に向かって歩いていたのだが、不意にその時、視線の片隅に、異様な色の光が見えた気がして、足を止めてそちらを見た。
校舎から図書館に続く、渡り廊下の途中、右手方向になる北側は、木が生い茂った林になつており、日の落ちかけている今は、薄暗い影に覆われている。
その中に、かすかに見えた赤色の薄靄。私がそれに気付き、そちらに視線を向けると、その薄靄は、私に見られたのに気づいたが如く、林の奥へと消えていった。
他に気になっていた事の一つに、図書館の場所と、どういった書物があるのかも簡単に見ておきたかったのもあるので。
幸いな事に、高野さんが図書委員という事で、図書館を利用するのも気楽に出来そうなのが助かる。
「沙羅ちゃん、見た感じ、本読むの好きそうだもんね。どんな本読むの?」
「ええと…良く読むのは、地方の歴史について書いてある本だったり、地理についての本だったりとか…。」
「へぇ〜、知的だねー。私なんかは、恋愛小説とか、ミステリーとかファンタジーとか、そういうのばっか。最近だと、西村京太郎かな〜?」
勿論私も、たまにはそういった本を読むことはある。しかし、それより優先して読みたい本が、自分の持っている力や、それに関する手掛かりを求める目的でチョイスされるだけで、必然的に、歴史書などが多くなるというだけである。
しばらく、本の事などについて話しつつ、二人、図書館に向かって歩いていたのだが、不意にその時、視線の片隅に、異様な色の光が見えた気がして、足を止めてそちらを見た。
校舎から図書館に続く、渡り廊下の途中、右手方向になる北側は、木が生い茂った林になつており、日の落ちかけている今は、薄暗い影に覆われている。
その中に、かすかに見えた赤色の薄靄。私がそれに気付き、そちらに視線を向けると、その薄靄は、私に見られたのに気づいたが如く、林の奥へと消えていった。
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