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ロストクロニクル7―18

[384]  五十嵐時  2009-06-07投稿
「私はこの村に入ってきた時に真っ先に鏡の宮殿を探したの」
パールは今までのことを話し始めた。
「そして鏡の宮殿を探しながらさまよっていると、いつの間にか辺り一帯には何もなくて、ただひとつ、鏡でできた建物だけが建ってたの」
パールは一息つくと話しを続けた。
「その建物は大きな半円の形のドーム型で、中に入ってみると、中には何もないただ、広くて暗い部屋があって、その部屋の中心にひとつの四角い形をした机と椅子が置いてあったの。その椅子には骸骨が腰掛けていて・・・」
「うわぁ!」
パールの話をそれまで黙って聞いていたフラットが耐えきれずに悲鳴をあげた。
「何なんだよ」
ウェドが鬱陶しそうにフラットに向き直った。
「だってなんだか気味が悪いじゃないですか。何もない所にぽつんと鏡のドームがあって、その中にも机と椅子だけしかないのに広くて、暗い部屋があって、さらには骸骨ですよ?」
「確かにわたしもさすがにそこまで来ると気味が悪くなって来たの」
パールは話を戻した。
「すぐに出ようとしたんだけど、ふと机に目を向けると手袋と古びてボロボロになった本があったの」
パールは懐から一冊の本を取り出し、四人の輪の中心に置いた。
フラットは情けない声をあげた。
「それからいきなり声がしたの」
「声?もしかして、ダイヤの?」
「そうよ。そして、いきなり目の前から鏡が現れて、鏡の中のわたしが話し始めたの。『わたしの名前はダイヤ。あなたは久しぶりのお客よ。でも、残念。あたしは鏡の中にしかいられないの』って。それから、わたしは気を失って、気がついたら
鏡の宮殿にいて・・・」
「僕たちを見つけたんだね?」
「ええ」
「なるほど、ダイヤは鏡の中にしかいられないから、ダイヤと一緒にいた僕たちは鏡の世界にいると気付いた訳だ。・・・はぁ〜、全く気付かなかった」
「そういえばこの本はなんだ?本当にボロボロだな」
ウェドは本に乗っていた埃を手で払い、なんとなくページを捲ってみた。
「なんだこれ?」
「これは、古代語だ!凄いなぁ〜。生きた古代語を見るなんて」
フラットが興奮した声をあげた。
「解読できるかい?」
「はい!こうみえても学校にいた時には古代語は得意中の得意でしたから」
フラットが自信満々に胸を叩くと古代語を食い入るように見つめ始めた。

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