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神の丘〜歩み〜?

[666]  佐奈  2009-06-08投稿
暗い路地に男の悲痛な叫びが響き渡る。

「‥こっ‥この野郎!」

もう一人の男が銃を拾いグレイに銃口を向ける。

グレイはそれより速く、もう一つの手で銃を取り出し、何の躊躇も無く男に向け発砲した。男は「ぐあっ…!!」と、薄い悲鳴を上げ、右足を抱えうずくまる。

銃を胸元にしまったグレイは、ガラスの棒を突き刺された男の顔に近付き、凄い見幕で怒鳴り散らした。

「お前は、何を見た!この左の傷を見たのか?この瞳の色をちゃんと見たのか!?言ってみろ!!!」

「ぎゃあああぁ!!ゆっ‥許して‥」

男の手の甲から、大量の血が腕を伝って流れ落ちる。

「お前らみたいな奴が居るから‥あいつは‥!」

サイレンの音が遠くから近づいて来る。

「・・・チッ!」

グレイは男の手を離し、胸元のハンカチで傷ついた自分の手を拭いた。そして、少し落ち着いた口調で二人の男に向かって言った。

「私は警官だ。今度あの男と間違えたら‥殺しますよ」

「ひぃぃぃ!」

男は、うずくまるもう一人の男を抱え、グレイの前から逃げ出した。

「・・・ザコが」

グレイはゆっくりとタバコに火をつけた。



ここはバルクより少し離れた街。

その街の高級ホテルのスイートルームにベルの音が響きわたる。

「‥どうぞ」

インターホンのスピーカーから、若い女性の声が聞こえ、部屋の扉が解錠される音が鳴る。

最上階にあるその部屋は、ホテルの屋上にあった。緑に囲まれ、小さく入り組んだ小川が流れ、鳥の鳴く声が聞こえていた。

小川に架かる小さな橋の先に、トレイを持ったルームサービスの青年が立っていた。

「失礼します。アイス珈琲をお持ちしました」

オールバックの黒いチョーネクタイを付けた青年が部屋に入る。

「ごめんなさい。今出られないの。そこのテーブルに置いといてくれる?」

広いリビングルームの横にある扉から声が聞こえた。

つづく

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