ほんの小さな私事(13)
林さんは、この高校の卒業生だそうで、去年完成したばかりのこの図書館に、出来た当初から勤めているそうだ。
短大を出た後、すぐにここへと勤める事になったという事で、私たちとも年齢が近い為、高野さんなどとは友達のように接しているらしい。
「沙羅ちゃんも本を読むのが好きみたいだから、ちょくちょく来ることになるかも?」
「あら、そうなの。読書好きの人が増えるのは嬉しいわね。読みたい本はどんどん借りていってね。あと、一杯本を借りた人には、私が作ったしおりをあげてるのよ。」
そう言って彼女が見せてくれたしおり。可愛いお花の絵が丁寧に描かれている。
「わあ…素敵なしおり。一杯お本を借りないと。」
「お本って…沙羅ちゃん、ホントにそれじゃ、お嬢様っぽいよ。」
そんな風に談笑していた私たちだったが、突然、入り口の扉を勢いよく開き、駆け込んできた女の子。肩で息をして、何やら尋常ではない様子を見せていた。
「あら、山下さん。そんなに慌ててどうしたの?」
林さんが、その駆け込んできた女の子に声を掛けた。どうやらこの子が、先ほど話の中で言っていた、今日の当番の山下さんのようだ。
彼女は、林さんの呼び掛けに答えようとしていたが、口をパクパクさせながら激しい呼吸を繰り返し、声が声にならない、といったようすだった。
「お…落ち着いて、落ち着いて。ゆっくり深呼吸してから、ね。」
あまりに取り乱している山下さんに、林さんが、心配そうな表情を見せてそう言った。その一方、高野さんが、彼女の背中をさすってあげていたが、激しく呼吸している彼女を心配してか、「私、どっからか水持ってくる!」と言って、図書館の外へと飛び出していった。
短大を出た後、すぐにここへと勤める事になったという事で、私たちとも年齢が近い為、高野さんなどとは友達のように接しているらしい。
「沙羅ちゃんも本を読むのが好きみたいだから、ちょくちょく来ることになるかも?」
「あら、そうなの。読書好きの人が増えるのは嬉しいわね。読みたい本はどんどん借りていってね。あと、一杯本を借りた人には、私が作ったしおりをあげてるのよ。」
そう言って彼女が見せてくれたしおり。可愛いお花の絵が丁寧に描かれている。
「わあ…素敵なしおり。一杯お本を借りないと。」
「お本って…沙羅ちゃん、ホントにそれじゃ、お嬢様っぽいよ。」
そんな風に談笑していた私たちだったが、突然、入り口の扉を勢いよく開き、駆け込んできた女の子。肩で息をして、何やら尋常ではない様子を見せていた。
「あら、山下さん。そんなに慌ててどうしたの?」
林さんが、その駆け込んできた女の子に声を掛けた。どうやらこの子が、先ほど話の中で言っていた、今日の当番の山下さんのようだ。
彼女は、林さんの呼び掛けに答えようとしていたが、口をパクパクさせながら激しい呼吸を繰り返し、声が声にならない、といったようすだった。
「お…落ち着いて、落ち着いて。ゆっくり深呼吸してから、ね。」
あまりに取り乱している山下さんに、林さんが、心配そうな表情を見せてそう言った。その一方、高野さんが、彼女の背中をさすってあげていたが、激しく呼吸している彼女を心配してか、「私、どっからか水持ってくる!」と言って、図書館の外へと飛び出していった。
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