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君からの手紙〜31〜

[430]  YOSI  2009-06-11投稿
「由美の手紙を2通目まで読んだんですよ。…その2通とも、ある曲について書かれているんです。
由美と、ストリートライブで聴いたんですが、だいぶ忘れかけているんです。
由美から何か聞いてますか?」
嶋野は、それを聞いて、思いをめぐらせた。
…ある曲…そうだ!由美が病気を隠して、勇一と聴いて感動した曲があるって言ってたっけ…
「ああ…はい。確か、もの凄く悲しい歌だけど、感動したって言ってました」
「そうですか…俺なんとなく、なんとなくですよ。その曲を知ることが、今俺の中にある、わだかまりが、解決するような気がするんですよ」
嶋野は、少しホッとした。
妹の願いとはいえ、勇一の心の一部分を閉ざしてしまっていた…その閉ざしていた心を、再び勇一が開けようとしていることに…
「その曲の、どこか解る部分ありますか?」
「え…と確か、…ただありがとう。って最後に言うんですが…」
その時、紀子が切りだした。
「最後、ただありがとう…って言うんですか?」
紀子の突然の質問に、勇一は驚いたが、頷いた。
「え?あっ はい」
「同じですね。私が担当した最後の患者さんが、その詞と同じ、ある曲を売り込みするのに、一生懸命でした。一度聴かせてもらったことあります!」
「テープとか残ってないですね?」
「残念ながら…」
勇一は、少し残念だったが、紀子の発言で、少しその曲に近づけそうな気がした。
「ところで、森田さん、手紙はどなたに渡されるんですか?何か、手掛かりがあれば協力します」
「え?そんな…すみません。解るのは、この辺に、少なくとも2年前まで、住んでたって解ることくらいです

「そうですか…残念です」
そして、紀子は1枚の封筒を取り出してみせた。
勇一は驚いた。
「その封筒…まさか…すみません。ちょっと、誰宛てかわかりますか?」
紀子は、封筒を見て、名前を見つけ、勇一見せた。
「幸子へ」
聞いたことのある名前だ
まさか…勇一は思いきって、紀子に聞いた。
「あの…もしや探している人の名前は、夕樹幸子っていうんじゃ…」
今度は紀子が驚いた。
「え?そ、そうですよ。知ってらっしゃるんですか?」
勇一は頷いた。

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