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ほんの小さな私事(18)

[433]  稲村コウ  2009-06-13投稿
結局、渡り廊下の様子はちゃんと見る事はできなかったけれど、見る限りのなかで、怪しい人影や、おかしな物は見えなかったし、赤い靄の存在は確認できなかった。あっとすれば、いつものように見える、白っぽい靄がちらほらと見えたぐらい。
因みにこの靄の存在は、普段は微かにしか見えていないのだが、私が意識してそれを見ようと思った時には、それらがより鮮明に、私の視界に飛び込んでくるようになるのだ。
感じとしては、望遠鏡やカメラで、ピントを合わせるのに近いのかも知れない。
二階連絡通路を渡りきった私たちは、その後、四階へと上った。一年生のクラスは、ほぼ、この四階に教室が並んでいる。山下さんは一年A組なので、私たちのクラスの横、一番東側にある。
流石に下校時刻が近い事もあって、明かりがついている教室はほとんどなく、廊下も電気がついておらず、薄暗かった。
「やだなぁ、もう。男子共…着替えに戻ってくるなら廊下の電気もつけてきなさいよねー。」
高野さんはそう、誰に言うでもなくぼやきつつ、少し通りすぎてしまった廊下の電気のスイッチをつける為に踵を返したのだが…。
「にゃぎゃッ!」
そう小さく声を上げて廊下に尻餅をついた。

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