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ほんの小さな私事(26)

[491]  稲村コウ  2009-06-24投稿
更に色々と話をしつつ、私たちは、中学校を過ぎた先にあるお寺の前までやってきた。
高野さんと山下さんは、もう少し行った先に自宅があるので、私はここでお別れとなった。
「じゃ、また明日ね。あ、そうだ!明日の朝、一緒に学校いこ?私とカズちゃん、いっつも朝一緒に登校してるし、これから沙羅ちゃんも一緒に行こうよ。」
「ええ、喜んで。朝、お待ちしていますわ。」
高野さんがそう誘ってくれたので、私は快く了解の返事をした。
「七時五十分頃がいいかな?それじゃあ、また明日。今日は本当にありがとう。」
山下さんが最後に、そう言ったが、私は軽く首を横に振って答える。
「気にしないで。今日はお互い、ゆっくり休んでおきましょう。それではまた明日の朝に。」
私は出来る限りの笑みを浮かべて言うと、山下さんは、満面の笑みを浮かべた。
「まったね〜!ばいば〜い!」
ブンブンと元気に手を振って去っていく高野さん。笑みが戻った山下さんも、控えめに手を振って去っていった。
何はともあれ、放課後、色々な事があったけれど、山下さんは元気を取り戻してくれていたし、高野さんも高野さんで、ショッキングな出来事を感じさせないぐらいの元気さを見せてくれていたので、私は内心、ホッとしていた。
それもそれだが何より、素敵な友達が出来た事が、私としては、とても嬉しい事で、今の私は、とても心が高揚していた。
東京にいた頃は、周囲に溶け込めず、孤立していた事を思い返すと、今のこの地区にやってきて、本当に良かったと思ってしまうぐらいに。

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