ほんの小さな私事(33)
「それじゃ、一旦家に戻って向こうの様子見てきたあと、間を見て片付けに戻ってくるからね。食べ終わったら食器を水に浸しておいてくれればいいからね。」
藤沢さんは、そう言うと、慌ただしくキッチンから飛び出していった。私はその後ろ姿に向かって「いつもすみません。藤沢さんも忙しいでしょうのに。」と言ったが、彼女は軽く振り替えって「いいのいいの」と言って、そのまま去っていってしまった。
「なんかこう…慣れないよな、あれは。俺らも今までユウさんに食事とか面倒見てもらってたけどさ。ああいうのとはちと違うもんなぁ…。」
潮が言うユウさんとは、今まで住んでいたマンションに家政婦としてやってきてくれた人の事だ。
あの当時は、父も母も、日々仕事に追われ、夜中に帰ってくる事も多かったし、私たちも、またまだ子供だった訳で、やむを得ずに家政婦を雇い入れていたに過ぎない。
しかし今は、私も高校生になったのだし、そういった生活の事ぐらいは、自分でやっていくべきだと考えているのだが…。
祖父が家を空けがちで、その間の面倒を藤沢さんが見てくれるのは解る。しかし、ここまで面倒見てもらってしまうのは、気が引けるし、将来的に私も、自分で家事ができるように訓練したい、と言う意味で、幾らかは、家の事に携わりたいのだ。
恥ずかしい事だが、私は料理が全く出来ない。知識では色々と情報が頭に詰まっているのだが、実際に料理をするとなると、全く出来ないだろうと思う。
小さな子供の頃、ケーキを作ろうとしてキッチンをメチャクチャにしてしまい、泣きながらユウさんに片付けを手伝ってもらったという、苦い記憶も、まだ、鮮明に脳裏に思い浮かべることが出来る。
「冷めちゃう前にたべちゃおうぜ。」
色々と料理を目の前にして考えていた私に、弟が急かすように言った。
「そうね。頂きましょうか。」
私たちは、手を合わせたあと、藤沢さんが用意してくれた料理を食べ始めた。
藤沢さんは、そう言うと、慌ただしくキッチンから飛び出していった。私はその後ろ姿に向かって「いつもすみません。藤沢さんも忙しいでしょうのに。」と言ったが、彼女は軽く振り替えって「いいのいいの」と言って、そのまま去っていってしまった。
「なんかこう…慣れないよな、あれは。俺らも今までユウさんに食事とか面倒見てもらってたけどさ。ああいうのとはちと違うもんなぁ…。」
潮が言うユウさんとは、今まで住んでいたマンションに家政婦としてやってきてくれた人の事だ。
あの当時は、父も母も、日々仕事に追われ、夜中に帰ってくる事も多かったし、私たちも、またまだ子供だった訳で、やむを得ずに家政婦を雇い入れていたに過ぎない。
しかし今は、私も高校生になったのだし、そういった生活の事ぐらいは、自分でやっていくべきだと考えているのだが…。
祖父が家を空けがちで、その間の面倒を藤沢さんが見てくれるのは解る。しかし、ここまで面倒見てもらってしまうのは、気が引けるし、将来的に私も、自分で家事ができるように訓練したい、と言う意味で、幾らかは、家の事に携わりたいのだ。
恥ずかしい事だが、私は料理が全く出来ない。知識では色々と情報が頭に詰まっているのだが、実際に料理をするとなると、全く出来ないだろうと思う。
小さな子供の頃、ケーキを作ろうとしてキッチンをメチャクチャにしてしまい、泣きながらユウさんに片付けを手伝ってもらったという、苦い記憶も、まだ、鮮明に脳裏に思い浮かべることが出来る。
「冷めちゃう前にたべちゃおうぜ。」
色々と料理を目の前にして考えていた私に、弟が急かすように言った。
「そうね。頂きましょうか。」
私たちは、手を合わせたあと、藤沢さんが用意してくれた料理を食べ始めた。
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