ほんの小さな私事(42)
「昨日はパパに怒られちゃってねー。まあ、しょうがないと言えばしょうがないんだけど。あー、考えるとやんなっちゃう。」
高野さんは、そう言いながら、カメラバッグから光度計を取り出した。
「あれ?それ…壊れたんじゃなかったの?」
確かに山下さんが言う通り、高野さんが手にしている光度計は、傷一つない、新品そのものだった。
「怒られたには怒られたんだけど、パパが『今度は壊さないように気を付けなさい。』って言って、これ渡してくれたの。パパ、やるなら中途半端は良くないって言う人だから。」
「そうだったの。でも、良かったですね。」
「うん。でも、英世のヤツだけは、後できっちりシメとかないと!」
彼女はそう言って、ボクシングのジャブを打つしぐさんしてみせた。
「ダメだよ、暴力は。それに高野さん、女の子なんだし、言葉で言及するとか…おとなしい方向で…。」
山下さんがそこまでいいかけた所で高野さんは、手のひらを左右に振りながら言った。
「ダメダメ。あいつ、何かこっちから言っても、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うで、話しになんないのよ。だったら最初からどついた方が早い…。」
「…僕をどつくとか…朝から穏やかではないね…。」
「げっ!英世!なんであんたがここに?」
いつの間にか私たちの側にやって来ていた櫻井君。自転車に乗っていて、更に、昨日見た時と同様、幾つもの機材を首から下げている。重くはないのだろうか?
「何でも何も…学校に向かってる道が単に一緒なだけだよ。あと、昨日は悪かった。君んとこのおじさんにも事情話して謝っておいたから。」
彼はそう言いつつ、ポケットから数個のフィルムを取り出すと、高野さんに差し出してきた。
「な…なによ、これ?」
「詫びの代わり…というのもなんだけど、君のとこのおじさんに弁償を申し出たんだけど、いいよって言われちゃってね。その代わりにこれを。」
彼はそう言って、無理矢理、高野さんにそのフィルムを手渡すと、「じゃ。僕はこれで。」と言って、そのまま去っていってしまった。
高野さんは、そう言いながら、カメラバッグから光度計を取り出した。
「あれ?それ…壊れたんじゃなかったの?」
確かに山下さんが言う通り、高野さんが手にしている光度計は、傷一つない、新品そのものだった。
「怒られたには怒られたんだけど、パパが『今度は壊さないように気を付けなさい。』って言って、これ渡してくれたの。パパ、やるなら中途半端は良くないって言う人だから。」
「そうだったの。でも、良かったですね。」
「うん。でも、英世のヤツだけは、後できっちりシメとかないと!」
彼女はそう言って、ボクシングのジャブを打つしぐさんしてみせた。
「ダメだよ、暴力は。それに高野さん、女の子なんだし、言葉で言及するとか…おとなしい方向で…。」
山下さんがそこまでいいかけた所で高野さんは、手のひらを左右に振りながら言った。
「ダメダメ。あいつ、何かこっちから言っても、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うで、話しになんないのよ。だったら最初からどついた方が早い…。」
「…僕をどつくとか…朝から穏やかではないね…。」
「げっ!英世!なんであんたがここに?」
いつの間にか私たちの側にやって来ていた櫻井君。自転車に乗っていて、更に、昨日見た時と同様、幾つもの機材を首から下げている。重くはないのだろうか?
「何でも何も…学校に向かってる道が単に一緒なだけだよ。あと、昨日は悪かった。君んとこのおじさんにも事情話して謝っておいたから。」
彼はそう言いつつ、ポケットから数個のフィルムを取り出すと、高野さんに差し出してきた。
「な…なによ、これ?」
「詫びの代わり…というのもなんだけど、君のとこのおじさんに弁償を申し出たんだけど、いいよって言われちゃってね。その代わりにこれを。」
彼はそう言って、無理矢理、高野さんにそのフィルムを手渡すと、「じゃ。僕はこれで。」と言って、そのまま去っていってしまった。
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