ほんの小さな私事(52)
「鎌鼬ねぇ…。昨日は特に風とか吹いてなかったけどな。」
私たちが喋っていると、先ほど高野さんと喋っていた男子…河原君が側にやってきてそう言った。
先ほどの会話から推測すると、河原君と稲葉君は、共に野球部に所属しているのだろう。
「あら。風が吹いてなくても、なにか不意にそういった現象が起こるとか、そういう事もあったりするかも知れないわよ?…まあ、あくまで推測の域だから、何とも言えないけど。」
「まあ、俺も直に見てた訳じゃないし、風が全く吹いてなかった訳でも無いしな。可能性の一つとしては、鎌鼬ってのもあるのかもな。」
確かに鎌鼬という推論は出るが、ただ、思うところ、鎌鼬が、そこまでの威力を持っていたのか?そして、山下さんの時にも、それ相応の威力の鎌鼬が発生していたとすれば、それはそれで、偶然の出来事としては、あまりに偶然が頻発しすぎているのではないか?
更に気になる事のもう一つに、今朝、山崎さんに聞いた弓道部主将の事も、今回の事に酷似している訳で…。
「…っていうか、なんであんた、私と喋ってるのに、沙羅ちゃんの方、じーっと見てんのよ?そりゃ、沙羅ちゃん可愛いし、見てたい気持ちも解るけど、それ、私にとってみれば侮辱よ?」
不意にそう高野さんが言ったので、私は河原君の方向を見てみた。すると確かに、彼は私の方を見ていた様で、私と視線が合うと、あわてて視線を反らした。
「ばっ…ばか、そんなんじゃねーよ。ほら、次は教室移動だから、早くいかねーと。」
彼はそう言って、自分の席に戻っていき、コソコソと教材を準備しはじめた。
それを冷ややかな目で見ていた高野さん。すこし間をおいてから、私に向かって言った。
「沙羅ちゃん、可愛いもんねー。私だって可愛いって思うもん。何か劣等感〜。」
そういう風に言う高野さんに対し、私は首を横に振って答えた。
「私なんて…そんな…。高野さんは高野さんで、私は素敵な容姿だと思うわ。」
「ありがと。お世辞でも嬉しいわ。でも、気をつけてね。沙羅ちゃん、ホントに可愛いし、クラスの男共は結構、あなたの事、見てる人多いわよ。」
「えっ?」
私はそう言われ、ドキッとして回りを見渡す。すると数人の男子と目が合い、目が合った人たちはそれぞれ、あわてて目を反らしていた。
私たちが喋っていると、先ほど高野さんと喋っていた男子…河原君が側にやってきてそう言った。
先ほどの会話から推測すると、河原君と稲葉君は、共に野球部に所属しているのだろう。
「あら。風が吹いてなくても、なにか不意にそういった現象が起こるとか、そういう事もあったりするかも知れないわよ?…まあ、あくまで推測の域だから、何とも言えないけど。」
「まあ、俺も直に見てた訳じゃないし、風が全く吹いてなかった訳でも無いしな。可能性の一つとしては、鎌鼬ってのもあるのかもな。」
確かに鎌鼬という推論は出るが、ただ、思うところ、鎌鼬が、そこまでの威力を持っていたのか?そして、山下さんの時にも、それ相応の威力の鎌鼬が発生していたとすれば、それはそれで、偶然の出来事としては、あまりに偶然が頻発しすぎているのではないか?
更に気になる事のもう一つに、今朝、山崎さんに聞いた弓道部主将の事も、今回の事に酷似している訳で…。
「…っていうか、なんであんた、私と喋ってるのに、沙羅ちゃんの方、じーっと見てんのよ?そりゃ、沙羅ちゃん可愛いし、見てたい気持ちも解るけど、それ、私にとってみれば侮辱よ?」
不意にそう高野さんが言ったので、私は河原君の方向を見てみた。すると確かに、彼は私の方を見ていた様で、私と視線が合うと、あわてて視線を反らした。
「ばっ…ばか、そんなんじゃねーよ。ほら、次は教室移動だから、早くいかねーと。」
彼はそう言って、自分の席に戻っていき、コソコソと教材を準備しはじめた。
それを冷ややかな目で見ていた高野さん。すこし間をおいてから、私に向かって言った。
「沙羅ちゃん、可愛いもんねー。私だって可愛いって思うもん。何か劣等感〜。」
そういう風に言う高野さんに対し、私は首を横に振って答えた。
「私なんて…そんな…。高野さんは高野さんで、私は素敵な容姿だと思うわ。」
「ありがと。お世辞でも嬉しいわ。でも、気をつけてね。沙羅ちゃん、ホントに可愛いし、クラスの男共は結構、あなたの事、見てる人多いわよ。」
「えっ?」
私はそう言われ、ドキッとして回りを見渡す。すると数人の男子と目が合い、目が合った人たちはそれぞれ、あわてて目を反らしていた。
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