携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> SF >> 人の掟7

人の掟7

[425]  2009-07-26投稿
家までは20分で着く筈だったが雪の所為か意外に時間がかかってしまった。

玄関に入るとこの家特有の温かさを肌に感じた、寄り道なのだけれど、ああ帰って来たんだなと思わせる。

外泊していたわけだし少しは顔を見せなきゃいけないなぁ。

「…………ただいま」

「はい、お帰りなさい」

今更ながら驚いてしまう、こんなオレを普通に迎えてくれるんだから。

「朝はもう食べたの? もし食べてないなら一緒に食べる?」

「うん、今顔洗ってくる」



元々無口なオレにはこんな会話でも面倒臭い。
これはオレの勝手な考えだが、話す事に意味は無いんだ。
感情を伝える事が「話す」という出力信号なら、紙に文字や絵を書いても同じ筈だ。
もしくはサインでもいいな、右手を挙げたら「おはよう」、左手を挙げたら「おやすみ」とか。


世の中には声量や音程で他人の心が分かるという人がいるが、それは嘘では無い、しかし100%でもない。
文字や絵には視覚という出力信号しかないが、会話には聴力も追加されるので、伝わりやすいのだ。

だがデメリットもある。


伝わりやすいということは、真偽の判定が困難だということだ。

そして責任が伴い、一度した発言を消すことも出来ない。

故に強い力を持つ。

だから、オレは言葉が嫌いだ。

意味を理解しないで使用をする事が怖い、無責任な発言で相手わ傷付けるのが恐ろしい。





冷たい水道水で顔も考えも流してリビングへと向かった。

感想

感想はありません。

「 G 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス