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ポジティブ・アクション8

[586]  ミッシェル  2009-07-31投稿

その事件で家を無くしたメアリーは、燃え盛る業火の中から救ってくれた、あの男の家に居候する事になる。

その男の家は、自分が元いた町より大分離れた、大きな街にあった。

一流企業の社員である彼はとても優しく、両親の死で酷く落ち込むメアリーを励まし、彼女を献身的に支え続けた。


メアリーはそんな彼に段々と惹かれていき、彼女は居候ではなく、彼の恋人として同棲生活を送る事にした。

メアリーは彼との生活がとても楽しく、とても幸せと感じたのだった。

だが、その幸せも束の間‥。

ある日の事だった。

彼女は夕方、何時ものようにキッチンで夕飯の準備をしていた。

「そろそろ帰ってくる頃ね」

メアリーはそう呟き、時計を見つめる。
するとその時、玄関から扉が開かれる音が聞こえた。

「うふふ」

彼女はウキウキしながら、玄関に行き彼を迎えるが‥。

「“ボス”その女は?」

彼の後ろには、柄の悪い数人の男達がいた。

とてもだらしない格好で、何人かは額に赤いバンダナを巻いている。

そして腕や首にはタトゥー。

それはまさに、ギャングを思わせる風貌である。


「俺の女だ。手ェ出すんじゃねェぞ」

「へへっ。分かりやしたよ。それにしても、良い女っすね」

「ははっ、まあな」

彼はその男達を自宅へ上がらせ、男達はソファに座ってくつろぎ始める。

「“ゲイリー”ちょっと来て」

「何だ?」

メアリーは別室へ行き、ゲイリーと二人きりで話し始める。

「あの男達は誰?」

「ははっ。俺の仲間だ」

メアリーは彼の“仲間”という言葉を聞き、只ならぬ嫌な予感がこみ上げてくる。

「仲間!? どういう意味? あの男達あなたの事ボスと呼んでいたけど一体」

それを聞き、ゲイリーは彼女から目をそらし、俯く。

そして一呼吸置き。

「今日言おうと思ってた。俺はよォ、ふっ、ギャングのボスなんだ」

メアリーは目を丸くさせ、呆然とゲイリーを見つめる。

「じゃっ、じゃあ一流企業の社員ていうのは!?」

「嘘だ。はははっ、悪かったなァ黙ってて」

(あ、ああ…私はどうしたら…)


続く

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