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真実 38

[342]  彰子  2009-08-02投稿
 不動産会社から現状の写真が送られてきた。どの写真もすごかった。こんな短期間で、新築の家がこんなにも汚れたりするものだろうか…
 結局、長年夫婦で話合って、長年夢にしていた家の購入ではなく、淳をローンで縛る為の材料であった事が写真で明らかになった。 これが現実だ…
 淳は前から感じてはいたものの、やはり虚しさでしかなかった。
 世の中では夫婦、心で支え合い、長い年月をかけて貯金をし、色々夢のマイホームの話をしたりして、やっと手に入れるものだろう。
 淳もそんな結婚を夢見たはずだったが、結婚して話し合いなんか持てる間柄でない事を実感した。
 …出て行ってくれてせいせいした。床は至るところに犬の毛がかたまり、使い物にならない大型ゴミ、タンス…彼女の親が使っていた物だ。それらが無造作になんの長年の感謝もなく、置き去りにされていた。物に対する愛情すら感じられない。
 でも確かにそんなやつだった。
 使っている物、家族の心なんて、やつにはどうでもいいのだ。
 ただただ自分が一番良ければ…。

 バカなやつだ。淳はしみじみと縁が切れた事を安堵したのだった。

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