4の呼吸 4-6
「本当に明るい子だったんですよ・・・」
彼女の様子に阿部はいたたまれない気持ちになった。しかし木戸はそうもいかないようだ。
「すいませんねぇ、先生。こちらとしても出来るだけ子供達に配慮しながら捜査してますが、なんにせよ殺人ですからねぇ。明日にはニュースや噂やらで子供達の耳に届くのは確実です。」
それを聞いて彼女はそうですね、とだけ答えた。明日からのドタバタを想像したのだろうか、声に力がなかった。
「そこで、今から生徒の一部に聞き込みに回ってよろしいですかな。」
えぇっ、と彼女は少し慌てふためいた。
「どうせ、明日には。でしょう?」
そういわれて、佐藤は返す言葉がなかった。彼女は少し考え、唸った後、決心をしたように言った。
「教頭には、内緒にしてくださいね。あとメディアにも。」
木戸はありがとう、と言うと速やかに職員室を後にした。
「ちょっと。木戸さん、本気ですか?」
阿部は木戸の肩を掴んでそう言った。彼の目からは不安の色が感じられた。それを見て木戸は微笑みながら言った。
「何か不安か?大丈夫、俺は正気の口だよ。」
感想
感想はありません。