ほんの小さな私事(60)
私は続けて矢を放ち、弓を射る感覚を取り戻していった。
多少、矢を放つ時の姿勢が安定していない感じもあったが、何とか的を捉える事は出来ているので、フォームなどをあと如何に安定出来るかがポイントになりそうだ。
そんな風に、私が弓を射っていると、射的の扉から、ヒョッコリと顔を出して、こちらに手を振っているのが見えた。
「いいですよ、入ってきて下さい。」
私が弓を下ろしつつ、そう言うと、高野さんは、辺りをキョロキョロ見ながらこちらにやってきた。
「こんな感じになってるのね〜、ふーん。何か私が入っちゃいけない場所みたいで、何だかドキドキしちゃう。」
そう言いながらも彼女は、場内の様子を、手にしているカメラで、あちらこちらと撮影していた。
「それはそうと、沙羅ちゃん、かっこいい!何かこう…凛としてて、オーラが出てる感じ?柔道とか剣道とかとは違う世界って所よね。」
まあ確かに、柔道や剣道と違い、弓道は激しく動くようなスポーツではない。しかし…
「けれど、道という一線では、それぞれとも、根底で必要とされる能力は一緒ですわ。大事なのは精神。これを如何に落ち着けて、動作に反映させる事が出来るか…。ここはどの道にも求められる、重要な部分になるの。」
そう私が言うと高野さんは、眉間にシワを寄せて、難しい顔をしてみせた。
「何だか難しい事言うね…。私、そう言われても、良くわかんないや。」
私としては、それなりに噛み砕いた説明をしたつもりだったが、どうやら高野さんには、うまくそれが伝わらなかった様だ。
「それはそうと、今度は弓を撃ってる所撮りたいから、また弓撃って!」
高野さんがそう言ったので、私は「わかりましたわ」と言って、一呼吸おいてから、ゆっくりと弓を引いた。
多少、矢を放つ時の姿勢が安定していない感じもあったが、何とか的を捉える事は出来ているので、フォームなどをあと如何に安定出来るかがポイントになりそうだ。
そんな風に、私が弓を射っていると、射的の扉から、ヒョッコリと顔を出して、こちらに手を振っているのが見えた。
「いいですよ、入ってきて下さい。」
私が弓を下ろしつつ、そう言うと、高野さんは、辺りをキョロキョロ見ながらこちらにやってきた。
「こんな感じになってるのね〜、ふーん。何か私が入っちゃいけない場所みたいで、何だかドキドキしちゃう。」
そう言いながらも彼女は、場内の様子を、手にしているカメラで、あちらこちらと撮影していた。
「それはそうと、沙羅ちゃん、かっこいい!何かこう…凛としてて、オーラが出てる感じ?柔道とか剣道とかとは違う世界って所よね。」
まあ確かに、柔道や剣道と違い、弓道は激しく動くようなスポーツではない。しかし…
「けれど、道という一線では、それぞれとも、根底で必要とされる能力は一緒ですわ。大事なのは精神。これを如何に落ち着けて、動作に反映させる事が出来るか…。ここはどの道にも求められる、重要な部分になるの。」
そう私が言うと高野さんは、眉間にシワを寄せて、難しい顔をしてみせた。
「何だか難しい事言うね…。私、そう言われても、良くわかんないや。」
私としては、それなりに噛み砕いた説明をしたつもりだったが、どうやら高野さんには、うまくそれが伝わらなかった様だ。
「それはそうと、今度は弓を撃ってる所撮りたいから、また弓撃って!」
高野さんがそう言ったので、私は「わかりましたわ」と言って、一呼吸おいてから、ゆっくりと弓を引いた。
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