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ポジティブ・アクション13

[548]  ミッシェル  2009-08-04投稿

「何なんだ?」

男はそう言いながら、目の前に停まっている車に近寄っていく。

他の二人は、その車を睨みながら暴れるメアリーを何とか押さえつけていた。

「何か用か?」

男はそう言って、開かれている窓から運転席を覗き込む。

するとハンドルを握る長い髪の男が、陽気に答えた。

「ははっ。そこにいるべっぴんさんを離しな」

長髪の男は、歩道で取り押さえられているメアリーを指差した。

「ふざけた野郎だぜ。何考えてんだ」

「良いからそこにいるべっぴんさんを離せよ。可哀想じゃねェか」

「てめぇ…舐めやがって」

すると男はいきなり運転席のドアを開け、長髪の男を無理やり引きずり下ろした。

「気に食わねェ野郎だ」

男は、倒れている長髪の男の胸倉を掴む。

しかし彼はうろたえることなく

「お前もな」

彼はそう言って、男の顔面に向かって唾を吐きかけた。

「てめぇ…」

男は思わず胸倉から手を離し、顔面に付着した唾を手で拭い始める。

勿論彼がこの隙を逃す筈は無い。

「俺を舐めんなよ」

懐に手を伸ばし、銃を取り出して勢い良く立ち上がった。

その銃口は、メアリーを取り押さえる二人に向けられる。

「早く離せ!」

「馬鹿が」

すると男は、メアリーの首に鈍く光る鋭利な物を近付ける。

…ナイフだ。

だがその時、凄まじい銃声が夜の住宅街に響いた。

そして次の瞬間には

「ギャアッ!」

男は叫び、ナイフを持った手を抑えながらその場に崩れた。

「早く来い!」

銃口をもう一人の男に向けながら、メアリーに言う。

「う、後ろ!」

メアリーは彼の背後を指差した。

彼が振り返ると、今まさに唾をかけられた男が彼に殴りかかろうとしている所だった。

しかし彼は怯む事なく

余った左手を懐に伸ばし、もう一丁の拳銃を男に向ける。

「俺は何時だって二丁だ」

「くぅ‥」

男は腰が抜け、その場に固まる。

「さあ来いお嬢さん! 逃げるぞ」

左右の銃をそれぞれ男達に向け、彼らの自由を奪った。

「俺の車に乗れ」

彼にそう言われ、メアリーは迷わず車に乗り込む。

「よし。あばよっ! マザーファッカー!!」

続く

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