携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> ミステリ >> 奈落の花

奈落の花

[489]  ゆーき・ののか  2009-08-06投稿
エピソード0【序章】

『ねぇ、美嘉あの事件から、もう10年もたったよ』
女性は、空を見上げながら風に靡く髪を手で抑える。

『時が経つのって早いのね』
今にも泣きだしそうな彼女は、ポケットの中から一枚の写真を取り出した。

「静奈…」
「……………」
彼に呼ばれ、彼女は彼の顔を見る。
その目には涙がたまっていた。

「大丈夫か?」
彼が何度心配そうに声を掛けても、彼女は、大丈夫だからと言う。
しかし、泣いている彼女が言っても説得力のカケラもない。
それは何故か……

それは、彼女が泣いているから

「……………」
彼は、そっと彼女を抱きしめる
まるで、泣いている子供をあやすかの様に……
しかし、そこにはなんとも言えない愛しさが込められていた。


『……………?』
彼女は、何故自分が抱きしめられているのかが理解できずにいる。

そして、彼女の耳に彼の低い声が響いた。


嗚呼、なんて安心する声なんだろう。

『零二……?』
彼女は、彼の背中に腕をまわした。
微かに彼の体が小刻みに震えていた。

『泣いているの?』
何故貴方が泣くの…
今度は、逆に彼女が彼をあやした。

「聞かせてくれ」

『えっ?』

「昔に何があったのかを」

黙り込む。

静奈も零二も黙り込む。
しばしの長い間沈黙 。

それを破ったのは、彼女…
静奈の方だった。

『後悔しないでね』

そして、語りだした彼女の過去。

重い口から紡ぎだされる真実。

俺は聞きたい
それは、彼女の彼として……
そして、彼女の親友の兄として………


『あれは』
それが

たとえ…………




『10年前の事…』
君を恨みそうなぐらいに醜い過去だったとしても。






エピソード0【序章】end

Next→
エピソード1【修学旅行】

感想

感想はありません。

「 ゆーき・ののか 」の携帯小説

ミステリの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス