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奇跡 2章 3

[370]  木村蜜実  2009-08-06投稿
別れを告げた後で、他の女に会うなんて、僕は最低だな…。

春香が待つ家へ…。

これで良かったんだ…

心に言い聞かせる。

答えなんて、わかんないもんだ。
僕が答えを出したから、あかねがそれに答えただけ。

それでいいんだ…。

「おかえり!」

ドアを開けると、春香はいつものように玄関まで来た。

「あかねに話したの?」

春香は真っ先にその話しを聞いてきた。

「ん?あぁ、話した。」

春香の顔が見れない。

「なんでこっち見ないのよ!」

春香のヒステリーがはじまる。

いつもこうだ。

「別れたんだから、いいじゃないか…。」

春香のヒステリーは嫌いだ。
でも、僕は春香を選んだんだ。

疲れた顔をすると、春香はすぐに泣く。
それもイヤだけど、僕は春香を選んだ。

「あたしの事話したの?」

「話さなくても、本人は納得してるんだ。それでいいんだ…。」

視線が痛い…。
春香の方を見る。

「話してないのね…。」

「あぁ、話してない。」

「そう…。そうだと思って、あかねにあたしが言っといた。」

「!」

なんて女だ…。

だから、あの時あかねは
『それだけじゃないでしょ?』
と聞いてきたんだ。

あかねはそれを知っていたんだ。
知っていたのに、僕を責める事なく、身を引いたんだ…。

僕はなんて事をしたんだ…。

なんてバカなんだ…。

「ホントの事言わないから悪いのよ。」

そうだ…。ホントの事を言わない僕が悪いんだ…。

「そうだな…。」

ホントにそうだ…。

「あたしだって…言ってくれなくて、ずっと不安だったんだから…。」

泣きながらうずくまる。

春香の気持ちもわからなくない。

二股掛けていた僕は、どっちつかずの毎日だった…。
だから今、

ものすごく二人に対して、罪悪感が募るばかりだった…。

いや…。

あかねに対して…。

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