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奇跡 2章 <終り>

[449]  木村蜜実  2009-08-06投稿
また、朝になる。

僕はナイフをポケットにしまう。

自分が死ぬ為の道具。

あかねに逢いに行く。

けど、やっぱり外は怖い。

男なら、平気なはず…。

しばらく床にへたりこむ。

また壁を見る。

下でチャイムの音。

誰かきたのか…。

出るのは、『お客』が帰ってからだ…。

また壁を見る。

しばらくまた考える。

「達也、入るわよ…。」

ドアを3回ノックする音。
ドアが開く…。

僕は母親が飯を持ってきたのだと思い、そっちを見なかった。

「達也、あかねさんよ…。」

「あかね…?」

僕の所に来たとゆうのか…?

ドアの向こうには、見覚えのある顔…。

「た…達也…。」

顔も声も…。
あかねだ…。

スッと立ち上がり、ゆっくりあかねの方へ歩く。

サラサラの髪、この感触、この香り、全てがあかねだ…。

「あかね…。」
そう呟いて、細い体を抱きしめた。

「覚えているの?私の事…。」

「…ん。覚えてる…。逢いたかった…。あかね…。」
あかねは僕の腕の中で声を出して泣いた…。

「あかねにずっと謝りたかった…。あの時お前の事を捨ててしまって…。ずっと後悔してたんだ…。離れて気付いたんだ…。俺は…あかねが1番大事だって事が…。」

僕はあかねの頬に手を当てた…。

「あかね…愛してる…。」


言えた…。
ずっと言いたかった言葉。

僕の中で奇跡が起きた…。

あかねにもう一度逢うとゆう奇跡が…。

もう言えたから、
もう、僕は後悔がなくなった…。

死ねる…。

いっその事…、あかねも一緒に…。

僕は永遠にあかねのそばにいたい………。

僕は、何を考えているのだろう…。

ポケットに入れておいたナイフを取り出し、あかねの背中に刺す。

「ごめん…あかね…愛してるから、俺と一緒に死んでくれ…。」

口から血を吐いて、僕を見た。

「達也…イヤだよ…達也…。」

口には赤い血が流れる。

あかねの力が抜けて行く。
僕も行かなきゃ…。

これで、永遠にあかねと一緒だ…。

自分で喉を刺す。

母が叫ぶ。

こんなのは痛くもない。

ずっと、あかねと一緒にいられるのなら…。

感想

  • 16669: 衝撃的でした!面白かったです!明 [2011-01-16]
  • 16687: 沙愛.このタイプの恋愛小説は初めて見ました! [2011-01-16]
  • 16688: オモシロす!です☆彡 [2011-01-16]
  • 16762: ありがとうございます♪木村 [2011-01-16]

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