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MLS-001 018

[670]  砂春陽 遥花  2009-08-06投稿
※お詫びと訂正※
ご一読ありがとうございます。
前回の投稿で016話が
2つありました。
「晴牧は…」から始まる方が
正しくは017話です。すみません。
--------------

遠く東の空は白み始めたが
森の中は暗い。

3人の頭上に下がる電球が一つ、
一瞬強い光輝を放って
音もなく切れた。

晴牧は
涙と鼻水で
ぐちゃぐちゃの顔をあげた。

自分をじっと見下ろす
花鼓の目に気付き、
苦笑いする。

「見苦しいところを
お見せして、すみません。」

晴牧は
いそいそと立ち上がると
ポケットからハンカチを出し、
顔をぬぐい鼻をかんだ。
拭う先から
額にうっすらと汗が浮かぶ。

「急に家内のことを
思い出しまして…。
独りでおると
よくあるんですよ。」

見知らぬ人に
自分の内面を見れた
気恥ずかしさに
つい要らぬことまで喋った。
口に出した後で、
知りたくもない
赤の他人の心中を
無理矢理聴かされた相手に
申し訳なくなり、
また苦笑する。

花鼓は、黙っていた。
乾いて茶褐色になった血糊が
額から頬にかけて
べっとりと張り付いていた。
血の通わない両目から
感情を読みとることは難しい。

「では。」

晴牧は
花鼓に素早く二度会釈し、
シャッターの方へ走った。

「あっ。」

真龍が小さな声をあげた。

晴牧の後ろ姿に向かって
差し出された手が
空しく宙でとまった。

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