携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 恋愛 >> 人斬りの花 21

人斬りの花 21

[469]  沖田 穂波  2009-08-08投稿

3-8 香

師匠の長屋に身を隠してから,ひと月が過ぎた。
幸い武部の手下は,まだ抄司郎達の居場所が掴めていないらしい。

そんな時,以前再会した道場時代からの親友である,近藤 平太に呼び出された。
平太は最近金回りが良い様で,抄司郎を強引に飲み屋に引っ張り込み,酒を振る舞った。

『何だいきなり。お前から誘うなんて珍しいじゃないか。』

抄司郎は振る舞われた酒に目を落としてから言った。
昔から平太は,自分から飲みに誘うような男ではない。

『たまには良いじゃないか。せっかく再会出来たのだから。』

と平太は酒をぐいと飲んだ。

『どうだ,師匠とは会えたか?』

『ああ。今はしょっちゅう世話になっている。』

『しょっちゅう?』

平太は目を丸くして言った。

『ちょいと匿って貰ってるんだ。』

『お前を?何故?』

昔から馴染みがあるせいか,何の疑いも無く,
武部に雇われ人斬りとなった事も,椿の傷跡の事も,全て話した。
抄司郎はそれだけ平太を信頼していたのだ。

『そうか,お前がそんなに苦労していたとは‥。知らなかったとは言え,悪かったな。』

『いや,逆に俺は話せて良かった。』

抄司郎は平太を見た。
平太は,酔って赤くなった顔で頷くと,
手元の酒を飲んだ。

≠≠続く≠≠

感想

感想はありません。

「 沖田 穂波 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス