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ポジティブ・アクション30

[604]  ミシェル  2009-08-13投稿

翌朝。

窓から差し込む明るい日差しと共に、スティーブはゆっくりと目を覚ました。

隣りでは、まだメアリーが寝息をたてながら彼に添い寝している。

スティーブは顔だけをメアリーに向けると、その心地良い寝顔をしばし見つめた。

「美しい寝顔だ」

そう言ってメアリーの頬を撫でると、彼はゆっくりと起きあがり、メアリーを起こさないように慎重にベッドから下りた。

ベッドから下り、ふと壁に掛けられている時計を見てみると、時刻は朝の7時半を回っていた。

「思ったより早いな」

そう呟き、洗面所に歩を進める。

やがて彼は洗面所の前に立つと、目の前の蛇口を捻り、そこから流れ出る冷たい水を存分に顔に浴びた。

一気に眠気が吹き飛んだスティーブはタオルで顔を拭き、鏡を見つめる。

…その時。

「スティーブ! どこに行ったの!?」

居間からメアリーの甲高い声が聞こえた。

直ぐにスティーブは洗面所から飛び出し、メアリーの居るベッドへと駆け寄る。

そこには、血相を変えて辺りを見回すメアリーの姿があった。

スティーブはすかさず、

「どうしたんだ?」

すると、彼の姿を見て安心したのか、メアリーはホッと胸を撫で下ろした。

「…良かったぁ。起きて隣りを見たら、あなたが居なかったから…私を置いてどっか行っちゃったのかと思ったわ…」

「はははっ。可愛いなお前。俺がお前を置いていく訳ないだろ。俺はただ、顔を洗いに行っていただけだ」

それを聞いて、メアリーは徐々に何時もの明るい笑顔を取り戻していき、スティーブにニコッと微笑んだ。

「やっぱりお前は笑顔が一番似合うぜ。俺は、お前のその明るい笑顔が好きなんだ」

「うふ、ありがと」

そう言ってベッドから下り、スティーブの前に立つと、

「あなたとの夜…とても素敵だったわよ」

メアリーはその細い腕をスティーブの肩に回し、彼と見つめ合う。

ゲイリーという呪縛から解放され、自由を手に入れたメアリーは、今とても幸せな気分であった。

――ずっと彼と居たい。

自分の理想とする幸せはスティーブにあると感じたメアリーは、段々とそう思い始めていたのだった。


続く

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