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ポジティブ・アクション33

[696]  ミッシェル  2009-08-14投稿

「お前の負けだ…」

ウォーレンは男を壁に押し付け、両手で男の首を思い切り締め付ける。

だが、それでも男の顔は苦痛に歪む事はない。

それどころか、男は笑みさえ浮かべていた。

「はははっ」

笑う男をウォーレンは訝しげに見つめると、突如と腹の辺りに違和感を感じた。

「…!?」

やがてその違和感は激痛に変わり、彼は思わず首から手を離す…。

…男の手には血にまみれたナイフが握られていた。

そのナイフの刃先からは、付着したウォーレンの赤黒い血が音を立ててこぼれ落ちている。

「て、てめぇ!!」

そう言って殴りかかるウォーレンに男は容赦せず、ナイフでウォーレンの首を切り裂いた。

ウォーレンの首からは大量の血が噴水のように勢い良く噴き出し、彼はそのまま断末魔の叫びをあげる事もなくその場に倒れた…。

「おい、お前…」

彼は、傍らでうずくまる幹部に言った。
「なんだ…」

「スティーブの居場所を教えろ…」

彼はそう言って、男の首もとにナイフを近付ける…。

「ひ、ひぃぃ…」

男は泣きじゃくりながら、潰れている片目を抑えた。

「知っているんだろ…早く教えろ!」

ナイフから目を背けながら、

「お、恐らく…ば、バーティス…に…む、向かって…いる…」

「バーティスか…調度良い」

彼はそう呟くと、そのまま一気に男の首を切り裂いた…。

そしてもう1人、腕が折れてうずくまる男にも、彼は容赦せずにトドメを刺す。
やがて、彼は懐から携帯を取り出してどこかへとかけ始めた。

『何です?』

彼の部下が電話に出た。

「お前等のグループはまだバーティスだろ?」

『えぇ。でも、これから戻る所です。取引は済みましたから』

「いや、まだそこにいろ! スティーブン・ロジャースが来る可能性がある」

部下はそれを聞いて、思わず目を丸くさせた。

『本当ですか? じゃ、じゃあ俺達はどうすれば』

「見つけたら奴を捕まえろ! 後から俺も行く」

『了解。それでは後ほど』

電話を切り、彼は何事も無かったかのように路地裏から去っていた…。


続く

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