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ポジティブ・アクション38

[657]  ミシェル  2009-08-19投稿

「……という訳だ」

スティーブはこれまでの経緯を分かり易くジュリーに説明した。

「なるほど。これからは?」

「さあな。この間々逃げ続けるか、連中と戦うか…。ルブランスならともかく、あのロシアンマフィアを相手にするのは無理があるな…」

するとジュリーは溜め息をつき、残り少ない珈琲を一気に飲み干した。

「別に逃げ込んで来た訳じゃないんだ。只、長い間姉さんとは会ってなかったから、たまには顔を出そうかなと思って今こうして来たんだ」

「へぇ〜。嬉しいわね」

そう言って、隣りに座るアンディの頭を撫でる。

「私はしばらく仕事が休みだから、今日は泊まって行っても良いわよ。アンディも夏休みで暇だから、相手してやって」

そこでメアリーは、恐る恐るジュリーに尋ねる。

「あの、夫さん…」

「いないよ」

メアリーが言い終える前にジュリーはキッパリと言った。

「私はシングルマザーよ」

「そ、そうなんですか。大変ですねぇ」

どうやらジュリーは弟のスティーブとは違って、冷静沈着な性格のようであった。

「あ、そういえば今日の夜、私とアンディ『グリーンズ・パーク』に行く予定なんだけどあなた達も来る?」

『グリーンズ・パークとは、ジュリーの住む大都市『バーティス』にある大規模な遊園地である。

「グリーンズ・パークかぁ。久しぶりだな。どうする? メアリー」

メアリーはスティーブの腕を握りながら、

「勿論、行くわ。うふ、やっとデートらしい事が出来そうね」

メアリーは目を輝かせ、スティーブを見つめる。

「でも姉さん、遊園地に行っている時に連中に見つかったら、姉さんまで巻き込まれる事になるぞ」

「…分かってるわよ。まあいいじゃないの。そういうのもたまには。ねっ? アンディ」

「うん。楽しいの大好き!」

そんな2人のやり取りを見て、メアリーは思わず驚愕した…。

「…やっぱりスティーブに似ているわね」


続く

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