ほんの小さな私事(73)
帰り支度を済ませ、私たちは、弓道場から外に出た。鍵を掛け、職員室へと向かおうとすると、山崎さんがこちらにやって来るのが見えた。
「おお、お前さんたち。今から帰宅かね?」
「はい。何かあったようで、臨時に生徒会から、下校の勧告がありましたので。今、弓道場に鍵を掛けて、職員室に鍵を持っていく所です。」
私がそう言うと、山崎さんは、「ふむ」と言ったあと、少し間を置いてから私に言った。
「見回りで弓道場を覗いていこうと考えておったで。せっかくじゃし、鍵はワシが預かっておこうかの。帰り道には気を付けるんじゃぞ。」
「はい、わかりました。では、鍵をお渡ししておきます。」
私はそう言って山崎さんに鍵を渡すと、一礼して山崎さんと別れた。
山崎さんと別れて暫くした頃、ふと思い出したように、高野さんが言った。
「そう言えば…用務員のおっちゃんも、例の現場に居た気がしたなぁ。」
「山崎さんが渡り廊下に?」
「うん。涼ネェと一緒にいて、何か話し合ってたと思う。」
「たまたま通り掛かったとか、では?」
「まあ、そうなんだとは思うけど、なんか色々と辺りを調べてたりもしたっけ。ま、どうでもいい事だけど。」
そう話ながら去っていく私たちを見つめながら、山崎はボソリと呟いた。
「あの子が、あれの娘かの?」
それに対し、山崎さんの足元に居た黒猫が一匹、返事をするが如く、「にゃあ」と一声鳴いた。
「おお、お前さんたち。今から帰宅かね?」
「はい。何かあったようで、臨時に生徒会から、下校の勧告がありましたので。今、弓道場に鍵を掛けて、職員室に鍵を持っていく所です。」
私がそう言うと、山崎さんは、「ふむ」と言ったあと、少し間を置いてから私に言った。
「見回りで弓道場を覗いていこうと考えておったで。せっかくじゃし、鍵はワシが預かっておこうかの。帰り道には気を付けるんじゃぞ。」
「はい、わかりました。では、鍵をお渡ししておきます。」
私はそう言って山崎さんに鍵を渡すと、一礼して山崎さんと別れた。
山崎さんと別れて暫くした頃、ふと思い出したように、高野さんが言った。
「そう言えば…用務員のおっちゃんも、例の現場に居た気がしたなぁ。」
「山崎さんが渡り廊下に?」
「うん。涼ネェと一緒にいて、何か話し合ってたと思う。」
「たまたま通り掛かったとか、では?」
「まあ、そうなんだとは思うけど、なんか色々と辺りを調べてたりもしたっけ。ま、どうでもいい事だけど。」
そう話ながら去っていく私たちを見つめながら、山崎はボソリと呟いた。
「あの子が、あれの娘かの?」
それに対し、山崎さんの足元に居た黒猫が一匹、返事をするが如く、「にゃあ」と一声鳴いた。
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