携帯小説!(スマートフォン版)

遺言 (2)

[464]  阿部和義  2009-08-23投稿
「続きは無いのか……」
 耐えきれなくなった次男が口を開いた。
「親父はいつも、俺たちを驚かせるのが好きだったけれど……」
「ちょっと待って」
 三男があることを思い出した。
「確かカセットテープを使った遺言は無効なはずだよ」
「本当か」
「そういえば、前にテレビでそんなことを言っていたな」
「ああ良かった。無効だ、無効」
「じゃあ、仲良く一千万ずつ分けよう」
 兄弟達は遺産を三等分することで納得し、カセットテープも処分してしまった。


 子供達の様子を雲の上から見守りながら、男は残念そうに呟いた。
「やはり言うとおりにしなかったのか。松の木の下を掘っていたら、一億円の当たりくじが埋まっていたのに……」
 先に天国に来ていた男の妻は、隣の夫の表情を見て、「何それ」と小さく笑った。

感想

  • 19126: ファンタジーらしさとらしくなさの混合。やはり独特です:ゅゅ [2011-01-16]
  • 19533: 翔:最後の妻の一言が、後味の良い終わり方にしてくれてますね! [2011-01-16]

「 阿部和義 」の携帯小説

ファンタジーの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス