キャッチボール 第43話〜別々に〜
今日から、龍吾とはお別れだ。あの楽しい日々はもう忘れたいと思っていた。
あれから1年余りが経った。
2月13日。
あれからというもの、龍吾からの連絡は一切なくなった。
「いってきます。」
仏壇の前で手を合わせた僕は、学校へ行く。
「お父さん。行ってくるね。」
「あぁ。」
僕の家の様子は1年余りで大きく変わった。
お母さんは半年前、不幸にも交通事故でこの世を去った。
なので、父が僕と一緒に暮らしてくれることになった。
何1つ有り難みはないが。僕の中学校生活も終わりを迎えようとしていた。
僕は市内の私立流通経済大学付属柏高校に合格。家から遠いが、高校受験は終わった。でも…
お母さんが死んだことで、みんな僕に悪口を言うようになった。
『おまえ…母ちゃんいないんだろ。』
『連れてこいよ。』
けたたましいみんなの笑い声。
早く卒業したい…
僕は耐えていた。
何も言えない。母親が死んだことは事実なのだから。
放課後、陽太が、
「あのさぁ。みーくんって、柏の高校行くじゃん。」「うん。それが?」
「実は推薦で受かった。」僕はとても驚いた。
柏の高校は遠いから、受かったのは自分だけだと思っていた。陽太も一緒の高校…単純に嬉しかった。
「な…なんで教えてくれなかったの。」
「驚いた顔。見たかったから〜」
陽太が明るく接してくれたので、自然と笑えた。
「あのさ。それよりさ、いじめ…ひどいよね。」
「うん…」
「親がいなくなるって…寂しいでしょ。」
「だけど生きていかなくちゃいけないし。」
「みーくん…」
陽太はいじめに同情したのか、下を向く。
「大丈夫。あと1カ月もないから。」
「…なんかあったら言って。」
その後、陽太が小声で言った。
「こんなとき…龍吾がいたら…」
「そんな話はもう1年も前のことだよ。」
「ごめん。」
僕はもう、龍吾のことは完全に吹っ切った。だけど、気にかかること…それは龍吾は僕のことを吹っ切っているのか…
僕は龍吾を裏切ったんだ。まだ可能性も十分あったのに。
あれから1年余りが経った。
2月13日。
あれからというもの、龍吾からの連絡は一切なくなった。
「いってきます。」
仏壇の前で手を合わせた僕は、学校へ行く。
「お父さん。行ってくるね。」
「あぁ。」
僕の家の様子は1年余りで大きく変わった。
お母さんは半年前、不幸にも交通事故でこの世を去った。
なので、父が僕と一緒に暮らしてくれることになった。
何1つ有り難みはないが。僕の中学校生活も終わりを迎えようとしていた。
僕は市内の私立流通経済大学付属柏高校に合格。家から遠いが、高校受験は終わった。でも…
お母さんが死んだことで、みんな僕に悪口を言うようになった。
『おまえ…母ちゃんいないんだろ。』
『連れてこいよ。』
けたたましいみんなの笑い声。
早く卒業したい…
僕は耐えていた。
何も言えない。母親が死んだことは事実なのだから。
放課後、陽太が、
「あのさぁ。みーくんって、柏の高校行くじゃん。」「うん。それが?」
「実は推薦で受かった。」僕はとても驚いた。
柏の高校は遠いから、受かったのは自分だけだと思っていた。陽太も一緒の高校…単純に嬉しかった。
「な…なんで教えてくれなかったの。」
「驚いた顔。見たかったから〜」
陽太が明るく接してくれたので、自然と笑えた。
「あのさ。それよりさ、いじめ…ひどいよね。」
「うん…」
「親がいなくなるって…寂しいでしょ。」
「だけど生きていかなくちゃいけないし。」
「みーくん…」
陽太はいじめに同情したのか、下を向く。
「大丈夫。あと1カ月もないから。」
「…なんかあったら言って。」
その後、陽太が小声で言った。
「こんなとき…龍吾がいたら…」
「そんな話はもう1年も前のことだよ。」
「ごめん。」
僕はもう、龍吾のことは完全に吹っ切った。だけど、気にかかること…それは龍吾は僕のことを吹っ切っているのか…
僕は龍吾を裏切ったんだ。まだ可能性も十分あったのに。
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