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消えた30の瞳 ?

[402]  内田俊章  2009-09-15投稿
 揺れはそれほどでもなかったが、地鳴りはしばらく続いた。

 すると、2人の足元の雪が、ドボドボと音をたてて崩れ落ちた。

 2人は慌てて、突き刺してあったポールにしがみつき、落ちるのを免れた。

 そこには、直径2m程の穴が開いた。

 中には、水が溜まっているらしく、今落ちた雪で、ユラユラと波立っているのが見えた。

 野崎は、懐中電灯を取り出して、中を照らしてみた。

 「や、矢口!あれは?」

 矢口は、目を細めて、シゲシゲと覗いた。

 「あっ!……。オヤジだ!」

 矢口は、以外と冷静に答えた。

 顔が確認できた訳ではない。

 被っているヘルメットのマークと、作業服で、父親に間違いと確認した。

 突き刺したポールが上がってきたのは、父親の胸の辺りにポールの先が当たり、一旦は沈んで、直ぐに浮かび上がってきたからだった。

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