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鬼里(おにさと)5

[666]  きゅる  2009-09-18投稿
虎雄達は、何度も周りを見渡した。

快晴の青空に、どこまでも続く森。
空の青と雲の白に、森の緑がよく映えている。

「妖怪でも、結構いいとこに住んでるもんだな、兄ちゃん」
「いや、大抵こんなもんだよ。人並みの知識を持った妖怪は、自分達の住家をかなり吟味するんだ。納得する場所がなけりゃ、自ら作るくらいだからね。・・・風鬼、確か幽鬼族はそのはしりだったっけか」
「おぅ、その通りさ。この森も、もうできてざっと5万年かな。今の長老のご先祖様が、さっきの所に檜の種を植えたのが始まりだそうだ」

「妖怪が人間より長生きなのは知ってるけど、幽鬼族はどのくらいなんだい?」

ふと聞いた龍次に、岩鬼が順をおって説明した。

「大抵の妖怪は、何百年間か生きる。長くて600か。俺達の仲間は、1100・1200が相当だ。妖怪では最も寿命が長い。俺はそのことを誇りに思うよ」
「自分の仲間が誇り、か・・・最高の言葉だ。・・・そういや、さっきから見てて思うんだけど、鬼って角があるんじゃないのか?兄ちゃんと違って一端の知識で悪いけど、何かそういうイメージしかなくてさ」

風鬼はくすっと苦笑いを浮かべ、話し出した。

「まあ、そんじょそこらの人間はそう思いがちだろうけどよ。鬼族にも、角を持つのと持たないのがいてな。角を持つほうは、角で仲間内の階級が決まるってもんだ。ただ、その分制限されることも多いから、些か不便っちゃあ不便だろう」

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