携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> その他 >> チンゲンサイ。?

チンゲンサイ。?

[405]  麻呂  2009-09-22投稿

『さぁさぁ座って。
ユウの大好きなカレーよ。』



それは、妻が玄関先に立っているユウを座るよう促し、


お皿に、なみなみに盛ったカレーをテーブルの上に置こうとした瞬間だった。



ガンッッ‥ガラガラガッシャーン‥―ー‐



ユウは、妻がテーブルに置いたカレーを、


他の料理や食器と一緒に、床へ放り投げたのだ。



『こらっっ!!ユウ!!何て事をするんだ!!』



さすがの俺も、これには黙っていられなかった。


妻は、両手を口に当て、我が子の思いも寄らぬ行動に、放心状態だった。



『こんな不味そうなもン食えねーよッッ!!

さっきは、よくもクソオヤジにチクってくれたな!!

このクソババァ!!』



ユウは、妻に向かってそう言うと、


今度は、水の入ったコップを妻の顔めがけて投げつけた。



『キャアアァァァ―ッッ―ー‐』



コップの中の水は、見事に妻の顔に命中し、


床には、空になったコップが砕けて散らばった。



『ユウ!!やめろって!!落ち着けよ!!』



兄のリョウの言う事も、興奮しているユウの耳には届かなかった。



『こんな家、俺が崩壊させてやる!!』


ユウは、部屋の中の物を手当り次第手に取り、


妻や俺に向かって投げつけて来た。


その時、俺は気が付いた。


俺の中の怒りの源とは何なのかと言う事を。



『ユウ!!自分の腹を痛めて産み、育ててくれた母さんに対して何をしてるんだお前は!!

自分1人でデカくなったつもりかああぁぁぁ――!!』



バチンッッ―ー‐



ユウの頬を平手打ちした俺を、


睨み付けながらユウは、また家を飛び出してしまった。



『う‥うっ‥‥もう‥終わりよ‥‥何もかも‥‥。

何であのコが‥‥うっ‥‥うっ‥‥‥。』



妻は泣きながら、割れた食器を拾い集め、


リョウは何事も無かったかの様に、


携帯にかけてきた彼女と仲良く話し始めた。



『あ?!コトミ?!うん、オッケー。

これからお前ン家行くよ。

え?!うち?!ダメダメ。ちょっと問題のアル中のオヤジが暴れててさぁ〜。』

感想

感想はありません。

「 麻呂 」の携帯小説

その他の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス