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誰も愛さない人を愛する私【9】

[392]  唯沙  2009-09-23投稿
「誰も愛せないから、この状況も平気なんだよ。」

スグルくんの瞳は死んでいた。

それなのに声のトーンだけは明るくしていた。

そのことが私には悲しくて仕方なくて涙がもっと溢れてきた。

そして思わず出た言葉。

「スグルくんが愛せないなら、私がスグルくんを愛するよ。」

軽く言ったように聞こえただろうか?

私は本気だ。

スグルくんは私の頭を撫でて

「ありがとう。」

と一言。

何故が少しすっきりして私は涙は止まった。

電車がスグルくんの降りる駅に着きそうな頃

「今日は一緒に帰ろううか?」

と…。

私は頷いた。

「じゃあ、後でメールするね。」

そう言うと電車を降りて行った。

私はパニックだった。

スグルくんの影を見たこと。

一緒に帰ろうと言われたこと。

そして、スグルくんの触れたところが熱い。

私はスグルくんの触れたところを触って落ち着こうと努力した。

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