MLS-001 027
ここは、どこ?
耳には穏やかな波の音。
立ち上がると、
海岸線から花鼓の足元まで、
コンクリートの道が
真っ直ぐ
海の中を伸びている。
人が4人、横に並んで
歩けるか歩けないかの幅だ。
幼い頃、母、来実子が
海を見に
隣の港町まで
連れて行ってくれたことを
思い出す。
港の両端に造られた
灰白色の細く長い道。
角の生えたUFOみたいな
コンクリートブロックが、
道の両側にゴロゴロと積まれ、
波に洗われている。
あの日、
穏やかな波に誘われて、
母と2人、
手を繋いで歩いた道。
ボウハテイ。
母が口にした音と、
文字が繋がったのは
ずっと後のことだった。
防波堤。
ふと足元を確かめると、
真龍が
気持ちよさそうに
眠っていた。
ザラザラとした
コンクリートの上、
毛布一枚羽織っていない。
夢の中ながら
右手でしっかりと
スカートの裾を押さえている。
乾いた喉の奥に張り付く潮風が、
少女の髪を青く洗う。
寝心地が
悪いだろうに、
穏やかな顔をしていた。
「警告。
第8人格と第2人格に
融合傾向あり。
修復完了次第、速やかに
第8生活領域へ
移動して下さい。警告…」
つい半刻前。
花鼓は、
声に促されるままに、
眠ってしまった真龍を
背負って、
メインベースを後にした。
何処へ行けばよいのか、
何処まで行けばよいのか、
皆目、見当がつかない。
ただ、
声に即されるままに
歩いた。
背負う少女の重みが、
両肩に重くのし掛かる。
空にうっすらと流れる雲が
時折、太陽を隠し、
世界は灰色になった。
明暗が
不規則に変動する世界で、
強まることも
弱まることもなく
白く光り続ける何かが、
花鼓に道を示していた。
行き先の分からないまま、
その声に従う。
立ち止まれば、
灰白色の混沌の波間に、
たちまち
光を見失うに違いない。
覚めない夢の中、
花鼓は、
重い足を
ただひたすら
前へ前へ運んだ。
「着いた。」
その一言が、
誰の言葉だったかは、
分からない。
安堵が
最後の砦を切り崩し、
花鼓はそのまま眠りについた。
耳には穏やかな波の音。
立ち上がると、
海岸線から花鼓の足元まで、
コンクリートの道が
真っ直ぐ
海の中を伸びている。
人が4人、横に並んで
歩けるか歩けないかの幅だ。
幼い頃、母、来実子が
海を見に
隣の港町まで
連れて行ってくれたことを
思い出す。
港の両端に造られた
灰白色の細く長い道。
角の生えたUFOみたいな
コンクリートブロックが、
道の両側にゴロゴロと積まれ、
波に洗われている。
あの日、
穏やかな波に誘われて、
母と2人、
手を繋いで歩いた道。
ボウハテイ。
母が口にした音と、
文字が繋がったのは
ずっと後のことだった。
防波堤。
ふと足元を確かめると、
真龍が
気持ちよさそうに
眠っていた。
ザラザラとした
コンクリートの上、
毛布一枚羽織っていない。
夢の中ながら
右手でしっかりと
スカートの裾を押さえている。
乾いた喉の奥に張り付く潮風が、
少女の髪を青く洗う。
寝心地が
悪いだろうに、
穏やかな顔をしていた。
「警告。
第8人格と第2人格に
融合傾向あり。
修復完了次第、速やかに
第8生活領域へ
移動して下さい。警告…」
つい半刻前。
花鼓は、
声に促されるままに、
眠ってしまった真龍を
背負って、
メインベースを後にした。
何処へ行けばよいのか、
何処まで行けばよいのか、
皆目、見当がつかない。
ただ、
声に即されるままに
歩いた。
背負う少女の重みが、
両肩に重くのし掛かる。
空にうっすらと流れる雲が
時折、太陽を隠し、
世界は灰色になった。
明暗が
不規則に変動する世界で、
強まることも
弱まることもなく
白く光り続ける何かが、
花鼓に道を示していた。
行き先の分からないまま、
その声に従う。
立ち止まれば、
灰白色の混沌の波間に、
たちまち
光を見失うに違いない。
覚めない夢の中、
花鼓は、
重い足を
ただひたすら
前へ前へ運んだ。
「着いた。」
その一言が、
誰の言葉だったかは、
分からない。
安堵が
最後の砦を切り崩し、
花鼓はそのまま眠りについた。
感想
- 22073: ガーン…ジャンル間違えました…(涙) [2011-01-16]
- 22074: エスエフです(>_<) [2011-01-16]
- 22080: たしかに…恋愛にぃ…シャイン [2011-01-16]
- 22114: クスン(・_・、)次から気を付けます!コメどうもです♪遥花 [2011-01-16]
- 24878: 翔:確かな文章力と、この世界観…とても真似が出来ません。 [2011-01-16]
- 27265: とんでもないです〜!ありがとうございます(>_<)遥花 [2011-01-16]