携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 恋愛 >> 角砂糖が溶けていくように?

角砂糖が溶けていくように?

[474]  紗弥佳  2009-09-27投稿
本当は、誰かひとりだけを見ていたい。
でも、誰も私だけを見ていてくれないと思っていた。

私以外の人、こと、もの…。
別のものを見て、別のことをしている間に少しでも、片隅に私のことを残しておいて欲しかった。
そんな風に思っていたあの頃。

一人だけを見ていられなかったのは私の方だった。

砂糖はもう、一杯のコーヒーに4つ入っている。

あなたと出会う前の、私に会いに行く度にいってきますのつもりで落としていた角砂糖。
眠れない真夜中、私はあなたに出会う前の私に会いに行くためにコーヒーに沢山の角砂糖を落とす。
結局、それはコーヒーと混ざらずに砂糖がどろどろとコーヒーの底に溜まっていく。
そんなに沢山いれなければ、きちんと混ざっておいしいコーヒーが飲めるのに。
ましてや、私はコーヒーに砂糖をいれて飲んだりしないのに。
あなたに出会う前の私に会いに行くための「いってきます」の合図が砂糖がコーヒーにとぷんと落ちていく音。
あなたに出会うまでのいままどの私の時間はコーヒーの底にどろどろと溶け残った砂糖みたいだ。

感想

  • 23052: 深い…比喩も美しい…けど何度も読まなきゃあ…良い意味で [2011-01-16]
  • 23053: 読み解けないし…読み解きたい…シャイン [2011-01-16]
  • 23131: テーマは自分の手で暴露致してしまっています(^^;)紗弥佳 [2011-01-16]

「 紗弥佳 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス