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DRAGON LOVER 42

[358]  木村蜜実  2009-09-29投稿
閻魔界に着くと、以前とは違う、荒れ果てた景色がみわたされる。

「あれ…?場所間違えたか?」

「ここで合ってるだろ?あそこが閻魔の宮殿だもん…。」
指差し、互いに確認をとる。

「ハーン…。あれ…。」
エリンは僕の腕を引っ張り、目で合図をする。

目線の先には、めぐみさんが微笑んで手招きしている。

何か様子が変…?

「ハーン!めぐみの目を見るな!!」
後ろを振り向くと、死神が立っている。

「いつの間に…。」

「とにかく、閻魔の所へ急げ!」
死神のマントが僕らを包む…。

閻魔は力を吸い取られ、倒れていた…。

その場にいたのは…。

「秀明…?」
奈々ちゃんが震えながら呟く…。

奈々ちゃんの弟…。秀明…。

「姉ちゃん…。」
涙を流しながら、秀明は閻魔の横で座り込んでいた…。

僕とライアンは閻魔に近寄ろうとした…。
そうしたら、目の前にまためぐみさんが…。

「死神!!この女は何なんだよ!!」

「めぐみは…。多分操られてる…。もう死人だけど…。」
死人なのに操られている?

「消すしかない…。」

俯いた死神の頬から涙が流れた。
それを見たら急に胸が苦しくなった…。

それにしても、なぜ秀明がいるんだろう…。

身動きが出来ず、硬直した状態が続く…。

奈々ちゃんを見てみると、瞬きもしない状態で涙を流している…。

「う…うそでしょ…?秀明…。あなた………。」

言いかけた時、秀明の表情が変わり奈々ちゃんを襲う。

ライアンはすぐに助けようとしたが…。

遅かった…。

それは一瞬の出来事だった…。

姉である奈々ちゃんを、弟の秀明が噛み付いた。

まるで吸血鬼のように…。

「奈々!!」
ライアンは秀明にかかっていく。

僕は、めぐみさんと死神の間に挟まれ、身動きが出来ない。

「ジョージ…。あたしはあなたを…。」

「何も…言わないで…。めぐみ…。もう…。」
死神は首斬り鎌を出し、フラフラとめぐみさんのそばに寄る。

「死神…。」
僕が話しかけても、僕を見ようとはしなかった。

真っ直ぐにめぐみさんを見る死神…。
鎌を首元へ構える。

死神の瞳は、涙が溢れすぎて何も見えないでいるに違いない…。

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