ほんの小さな私事(104)
高野さんたちが言い合いをしている時、今度は、体操服姿の男子生徒が、慌て走ってきた。
「あれ?みんなして、何してるの?」
私たちが居る場所で立ち止まり、そう聞いてきた彼。香取君だった。
「実は、ここの扉の鍵が開いていたので、中の様子を見ていたのですけど…。」
そう言いながら、私は、まだ、言い合いを続けている二人に視線を向けた。
香取君は、それを見て、苦笑いしながら、納得した様子を見せた。
「彼ら…いつもあんな感じだよね…。それはそうと、急がないと授業始まっちゃうよ?」
「ええ。」
私は、何にしても、二人のやり取りを止めようとして、声を掛けようとした。…その時!
勢い良く扉が開き、櫻井君にぶつかり、その勢いを受けて、高野さんも、櫻井君と共に吹っ飛ばされた。
「だ…大丈夫ですか?」
私はすぐに、高野さんの側に寄って助け起こす。香取君も、櫻井君を助け起こしつつ、扉を見た。
「なんだ…これ?風が中から出てきてるみたいだけど…。」
扉はその後も、中から吹き出してくる風に煽られ、半分開いた状態で、開閉を繰り返している。
よくよく見ると、ガラス越しに、奥の部屋の扉が開いているのが見え、その手前に、人の姿が確認できた。
その人影の回りには、私が今日見た、赤と青の混じりあった靄がかかっていた。
「山下さん…!?」
「え?」
私の目線を追い、皆が中を覗く。だが、皆には靄が見えないのだろう。奥の薄暗い中にいる人影を、誰かとは判別出来ない様だ。
「なんか…誰か居るけど…あれ、カズちゃん?」
そう言っていると、迷いなく、香取君が、扉の中に飛び込んでいった。
「あれ?みんなして、何してるの?」
私たちが居る場所で立ち止まり、そう聞いてきた彼。香取君だった。
「実は、ここの扉の鍵が開いていたので、中の様子を見ていたのですけど…。」
そう言いながら、私は、まだ、言い合いを続けている二人に視線を向けた。
香取君は、それを見て、苦笑いしながら、納得した様子を見せた。
「彼ら…いつもあんな感じだよね…。それはそうと、急がないと授業始まっちゃうよ?」
「ええ。」
私は、何にしても、二人のやり取りを止めようとして、声を掛けようとした。…その時!
勢い良く扉が開き、櫻井君にぶつかり、その勢いを受けて、高野さんも、櫻井君と共に吹っ飛ばされた。
「だ…大丈夫ですか?」
私はすぐに、高野さんの側に寄って助け起こす。香取君も、櫻井君を助け起こしつつ、扉を見た。
「なんだ…これ?風が中から出てきてるみたいだけど…。」
扉はその後も、中から吹き出してくる風に煽られ、半分開いた状態で、開閉を繰り返している。
よくよく見ると、ガラス越しに、奥の部屋の扉が開いているのが見え、その手前に、人の姿が確認できた。
その人影の回りには、私が今日見た、赤と青の混じりあった靄がかかっていた。
「山下さん…!?」
「え?」
私の目線を追い、皆が中を覗く。だが、皆には靄が見えないのだろう。奥の薄暗い中にいる人影を、誰かとは判別出来ない様だ。
「なんか…誰か居るけど…あれ、カズちゃん?」
そう言っていると、迷いなく、香取君が、扉の中に飛び込んでいった。
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