アディショナルタイム (3)
それから暫くして故郷に帰った俺は、後援者の伝手もあって不動産会社に就職する。
慣れない仕事だったけれど、体力だけが取り柄で人一倍営業に駆け回ったこともあり今では、部下は三人だけでも支店を任されるまでになった。
奇しくもテレビでは、古巣がクラブワールドカップの決勝を闘っている。
「俺も、もう少しサッカーにしがみついていればよかったかな……」
すると、隣で息子をあやしながら妻が言う。
「何言ってるのよ。私はサッカー選手だったあなたを好きになったんじゃないわ。だって、あのとき私が手紙を送ったときには、すでにあなたは選手じゃなかったじゃない。いいのよ、今が幸せなら……」
試合はスコアレスのまま、アディショナルタイムに入っていた。
慣れない仕事だったけれど、体力だけが取り柄で人一倍営業に駆け回ったこともあり今では、部下は三人だけでも支店を任されるまでになった。
奇しくもテレビでは、古巣がクラブワールドカップの決勝を闘っている。
「俺も、もう少しサッカーにしがみついていればよかったかな……」
すると、隣で息子をあやしながら妻が言う。
「何言ってるのよ。私はサッカー選手だったあなたを好きになったんじゃないわ。だって、あのとき私が手紙を送ったときには、すでにあなたは選手じゃなかったじゃない。いいのよ、今が幸せなら……」
試合はスコアレスのまま、アディショナルタイムに入っていた。
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