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ほんの小さな私事(110)

[369]  稲村コウ  2009-10-05投稿
「多分、あれは、人に取り憑くタイプの霊だと思う。何とかそれを切り離して、浄化しないといけないんだけど、今、僕の手持ちの機械だと、霊を怯ませる事しか出来ないんだ。だから、加藤先生が来るまで、何とか霊が逃げない様にしないといけない。」
櫻井君は、ポケットから取り出した機械を組み立てながら、そう言った。
どうやら彼も、なつきさんが能力を持っている事を知っている様だ。
「やっぱり山下さんは、何かに取り憑かれていたのですね…。霊に取り憑かれる事で何か良くない事が無いといいのですが…。」
霊に憑依されるというのがどういう感じなのか…私はまだ、何も解ってはいないものの、それに因って、何か悪い事態を引き起こすのではないか?という懸念もあったため、そう言葉にしてみたのだが…。
「何とも言えないところだけど、何かしら、憑依されている人間に、悪影響がでる可能性は高いかもね…。特に今、あの誰かに憑依してるヤツは、かなりの大物みたいだし、このまま憑依され続けてたら、何か影響が出てもおかしくは無い。」
「そんな…。」
彼女が何時から霊に憑依されているか判らないが、少なくとも、昨日の夕方、行方をくらましてしまった頃に憑依されたとすれば、もう、半日以上も彼女は、霊に憑依されている事になる。
どんな影響が出るのかは解らないが、少なくとも、早々に対処しないと大変な事になるというのを、私はその時、直感した。
「とにかく、加藤先生が来ないと、どうにもならないんだ。高野が何とか、早く呼んできてくれるのを祈るしかないよ…。」
相変わらず機械を色々と弄りながら、彼は苦い顔をしてそう言った。
確かに私も、自分が何を出来るのかも解っていない手前、何を出来る訳では無い事に歯痒さを感じていた。

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