キャッチボール 第56話〜裏切られた2人 2〜
必死に龍吾を元気づけようとするが、姉ちゃんの足元に、ポタポタと落ちる涙。オレは何で、姉ちゃんが泣いているのか、分からなかった。
まだ姉ちゃんは8歳。オレなんかまだ5歳。幼い子供に突き付けられた現実。
『ねぇ…おねえちゃん。なんで泣いてるの?どこか…いたいの?』
姉ちゃんはただ泣いている。
『ねぇ…おねえちゃん。なんで泣いてるの?ね〜え』オレは姉ちゃんの袖を引っ張る。
『ママ、もどってくるんでしょ?だったらなんで泣いてるの?』
東京の空。こんなにも狭いのか。
その狭い空にもようやく、寂しそうに雨が降り出す。姉ちゃんは、ここに連れてこられた本当の理由を、この日には教えてくれなかった。
オレも、だんだんと日が経つにつれ、その理由、
『捨てられた』
と言う気持ちが分かっていった。
そう、ここは公園なんかじゃない。
捨てられた子供達が生活している所なんだ。
オレも親に…捨てられたんだ。
しばらく、立ち直れなかったのを覚えている。
あれから10年。
未だになぜオレ達は捨てられなければならなかったのか。分からない。
「3月…9日。」
自分の部屋で、明かりもつけないまま、眠れない夜を過ごした。
その頃僕は、
「ごめん。遅くなって。」「何かあったらしいな。大丈夫だったか。」
「…うん。連絡あったんだ…」
「…よかった。…引っ越しの準備。ほぼ終わった。後は新しい家の掃除でもやるか。」
「…うん。分かった」
すると父さんが引き出しから、
「後これ。龍吾くんに、渡してくれないか。」
受け取ったものは、1通の手紙。僕は不思議に思ったが、
「うん。渡しておく。」
と言って部屋に入る。
そういえば、3月9日は龍吾の誕生日。メールのやりとりして分かったこと。
その時に手紙と、自分からのプレゼントを渡せばいい。10日は引っ越しの日で忙しいから、これくらいの日が1番いい。
「3月9日。龍吾の家に行こう。あえてメールしないで、驚かせちゃおう。」
この行動が、龍吾にとってサプライズだと、勝手に決め付けていた。
3月9日。
時はあっという間に過ぎた。
龍吾の家は、緊迫とまではいかないが、いつもと違う雰囲気が漂っていた。
「おっす。」
「おはよう。まだ6時だけど。」
「…あー。ちっと眠れなくて。」
「…ふーん。」
姉ちゃんも6時に起きるなんて珍しいと思った。
ついに、10年の空白が埋まる。
まだ姉ちゃんは8歳。オレなんかまだ5歳。幼い子供に突き付けられた現実。
『ねぇ…おねえちゃん。なんで泣いてるの?どこか…いたいの?』
姉ちゃんはただ泣いている。
『ねぇ…おねえちゃん。なんで泣いてるの?ね〜え』オレは姉ちゃんの袖を引っ張る。
『ママ、もどってくるんでしょ?だったらなんで泣いてるの?』
東京の空。こんなにも狭いのか。
その狭い空にもようやく、寂しそうに雨が降り出す。姉ちゃんは、ここに連れてこられた本当の理由を、この日には教えてくれなかった。
オレも、だんだんと日が経つにつれ、その理由、
『捨てられた』
と言う気持ちが分かっていった。
そう、ここは公園なんかじゃない。
捨てられた子供達が生活している所なんだ。
オレも親に…捨てられたんだ。
しばらく、立ち直れなかったのを覚えている。
あれから10年。
未だになぜオレ達は捨てられなければならなかったのか。分からない。
「3月…9日。」
自分の部屋で、明かりもつけないまま、眠れない夜を過ごした。
その頃僕は、
「ごめん。遅くなって。」「何かあったらしいな。大丈夫だったか。」
「…うん。連絡あったんだ…」
「…よかった。…引っ越しの準備。ほぼ終わった。後は新しい家の掃除でもやるか。」
「…うん。分かった」
すると父さんが引き出しから、
「後これ。龍吾くんに、渡してくれないか。」
受け取ったものは、1通の手紙。僕は不思議に思ったが、
「うん。渡しておく。」
と言って部屋に入る。
そういえば、3月9日は龍吾の誕生日。メールのやりとりして分かったこと。
その時に手紙と、自分からのプレゼントを渡せばいい。10日は引っ越しの日で忙しいから、これくらいの日が1番いい。
「3月9日。龍吾の家に行こう。あえてメールしないで、驚かせちゃおう。」
この行動が、龍吾にとってサプライズだと、勝手に決め付けていた。
3月9日。
時はあっという間に過ぎた。
龍吾の家は、緊迫とまではいかないが、いつもと違う雰囲気が漂っていた。
「おっす。」
「おはよう。まだ6時だけど。」
「…あー。ちっと眠れなくて。」
「…ふーん。」
姉ちゃんも6時に起きるなんて珍しいと思った。
ついに、10年の空白が埋まる。
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