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堕天使 (紗弥佳・18歳の時の詩)

[329]  紗弥佳  2009-10-08投稿
少年時代しか愛せない
そんな大人になりたくなくて
今だけを楽しく生きる
そればかりを考えていた

懐古主義って
なんだか悲しくて
取り残された抜け殻みたい
小さな頃とった蝉の抜け殻
何だか似ている

そんなものを愛おしく思って
ずっととっておくなんて
馬鹿げている
思い出は
感傷的に美化されるもの

今の自分を愛せる
そんな大人になりたくて
過去を簡単に捨て去って
淘汰することを覚えた

快楽主義って
なんだか惰性だけれど
珈琲の底に溶け残った砂糖
嫌になるほど甘美なもの
堕ちていくのも悪くない

そんな風に愛おしく思って
気怠く日々を流していく
馬鹿げているって
みんな言うけれど
価値観という眼鏡はひとつじゃない

明日も明後日も
退廃的に甘美に惰性に
流れていけばそれでいい

つまらない大人にはなりたくないから

そう思って不思議な顔をして
毎日を気怠げにため息をついて
鼻で笑いながら過ごしていた

自分が堕天使だと信じていたあの頃

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