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ほんの小さな私事(116)

[340]  稲村コウ  2009-10-14投稿
櫻井君の機械が発した音で、どうやら、山下さんに取り憑いていた霊は、離れたようであった。
しかし、機械から発される音が止んで暫く、赤色の靄がまた、山下さんに憑依しようとしているのか、気絶している彼女に向かって動いているのに気付いた。
香取君が、気絶した山下さんを抱き抱えてこちらに戻ってきてはいるものの、追ってくる赤色の靄が、もうすぐそこという辺りまで迫っていた。
『一体、どうしたら…?』
そう思っていると不意に、脳裏に何かの声が響いてきた。
『お前の気をぶつるんだ。アレを止められるのは今、お前しか居ない!』
「で…でも、どうしたら…。」
周囲を見渡し、その声の主を探す私。そして、ふと見た横に、いつの間にそこに居たのか、小さな黒い影が有るのに気付いた。
その黒い影は、私の方向に顔を向け、闇の中でも光る目で、じっと私を見ていた。
『時間が無い!急いでお前の気をアレにぶつけるんだ!』
声の主はどうやら、この黒い影…この猫の様だった。
猫が喋る…いや、猫と意志疎通をするという事に驚きを隠せない私だったが、今目の前に、霊がいるという事実もあり、とにかく、この猫が言っている事を信じる事にした。
だが、気をぶつけるというのをどうやっていいのかわからず、暫し迷ったが、その時私は、なつきさんが、紙に気を移している姿を思い出していた。
『何か…何か無いかしら!?』
私はすぐさま、回りを見渡す。辺りには、強い風で吹き飛ばされて、様々な物が散らばっていた。
その中に私は、骨董品で飾りとしてあったらしき弓が落ちているのに気付き、すぐさま、それを拾いあげた。
流石に矢までは無かったが、側に落ちていた、一本の箒を見つけ、それも拾いあげると、弓を構え、箒を弦につがえた。

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