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タイムカプセル 6

[408]  内田俊章  2009-10-15投稿
思い出 ?

 そんな栞の思いも知らずに、謙介は又、昔の事を思い起こしていた。


 謙介の家と小学校のほぼ中間に『金光寺』と言う寺が有った。

 4年生になったばかりの5月のある日。謙介と亜紀は、金光寺で道草を喰っていた。

 金光寺の裏には、大小様々な墓が並んでいた。

 その一番奥に、5M四方位に、石垣と塀が張り巡らされた、立派な墓が有った。

 2人は、その墓の周りを走りながら、追い駆けっこをしていて、亜紀が敷き石につまずいて、転んでしまったのだ。

 「痛い〜」

 亜紀は、声を出して泣き始めた。

 「亜紀、大丈夫か?」

 謙介は、優しく亜紀を抱き起こした。

 亜紀は、膝と腕を擦りむき、少しだけ血が流れていた。

 謙介は、亜紀を連れて、墓のすぐ横にある、水田の畦まで降りて行った。

 そして、手のひらで水田の水を汲むと、傷口の血を洗い流してあげた。

 そしてポケットからハンカチを出して、優しく拭いてあげたのだ。

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