ほんの小さな私事(117)
弓を構え、私は、矢の代わりにつがえている箒を持つ手に神経を集中させた。
身体中の気が手に集まってきて、それが箒へと移動して行く。
多少、意識が朦朧としたが、何とか堪えて、今度は、箒を持つ指先と、弓を支えている腕の全てに神経を集中させた。
骨董品のものとは言え、弓自体はちゃんと使える作りになっているが、矢の代わりにしている箒は、言うまでもなく、普段射っている矢の様に放てるとは到底思えない。
しかし今は、何としてでもそれを放たなくてはならなかった。
自分の腕と指先、手の感覚をうまく感じとり、己の勘を信じて、私は、矢の代わりにしている箒を撃ち放った。
「お願い、当たって!」
放たれた箒は、思っている様には飛んでくれなかったが、香取君の顔スレスレの位置を何とかすり抜け、後方の赤色の靄に向かって飛んでゆく。
それに反応し、赤色の靄は、それを避けようと動いたが、僅かに箒が命中するのが早かった。
グゴアァァァァ!
低い声の様な音が辺りに響く。赤色の靄は、箒が命中した辺りを中心に、散り散りになっていた。
「よくやった!これで当分、ヤツはまともに動けない筈だ。あとはヤツにとどめの一撃を入れれば…。」
黒猫の声が私の脳裏に響く。しかし私は、全身の力が抜けてしまい、床にへたりこんでしまっていた。
身体中の気が手に集まってきて、それが箒へと移動して行く。
多少、意識が朦朧としたが、何とか堪えて、今度は、箒を持つ指先と、弓を支えている腕の全てに神経を集中させた。
骨董品のものとは言え、弓自体はちゃんと使える作りになっているが、矢の代わりにしている箒は、言うまでもなく、普段射っている矢の様に放てるとは到底思えない。
しかし今は、何としてでもそれを放たなくてはならなかった。
自分の腕と指先、手の感覚をうまく感じとり、己の勘を信じて、私は、矢の代わりにしている箒を撃ち放った。
「お願い、当たって!」
放たれた箒は、思っている様には飛んでくれなかったが、香取君の顔スレスレの位置を何とかすり抜け、後方の赤色の靄に向かって飛んでゆく。
それに反応し、赤色の靄は、それを避けようと動いたが、僅かに箒が命中するのが早かった。
グゴアァァァァ!
低い声の様な音が辺りに響く。赤色の靄は、箒が命中した辺りを中心に、散り散りになっていた。
「よくやった!これで当分、ヤツはまともに動けない筈だ。あとはヤツにとどめの一撃を入れれば…。」
黒猫の声が私の脳裏に響く。しかし私は、全身の力が抜けてしまい、床にへたりこんでしまっていた。
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