ほんの小さな私事(118)
私が放った箒で、赤色の靄は暫し、動きを鈍らせた。
しかし、一度散り散りになった断片が、徐々に集まってくると、また一つの塊となって、再び動き始めた。
『まずいぞ…。今の一撃でヤツの力が弱まったが、また誰かに取り憑くつもりだ。』
そうは言われても、私は力を出しきってしまい、今はまともに動く事が出来ない。
何とか香取君は、山下さんを連れて外に出ていたが、櫻井君は、手にした計器を見ながら、ポケットをあちらこちら探っていた。
そんな間にも、赤色の靄が、こちらに向かって移動してくる。
どうやら今度は、私を取り憑く対象に決めた様で、じわりじわりと私に近付いてきていた。
そんな私を守るかの様に、黒猫が私の前に出て、フーッ!という声で靄を威嚇したが、靄はそんなものを意に介さず、どんどんと私に近付いてくる。
何とかそれから逃れようと、私も必死に体を動かそうとするが、力が抜けてしまっている私は、ただもがく事しか出来なかった。
横にいる櫻井君に助けを求めようとしたが、声もまともに出せないぐらいに疲労しており、半ば、諦めかけていたその時!
唐突、眩い光が走った。
光はその一瞬、辺りを眩しくさせただけだったが、その光が影響したのか、靄が怯み、動きを止めた。
続けて今度は、私の横を誰かがすり抜け、赤色の靄に突進していった。
「ええい!邪なる存在よ、滅せよ!砕ッ!」
そう叫びながら、突進していった人影…なつきさんが、両手の指に挟んでいた数枚の紙を、力いっぱい叩きつけた。
グギャアアァァァァ!
赤色の靄は、なつきさんが叩きつけた紙切れに流れ込んでいた気の力を受けてか、細かく辺りへと散っていってしまった。
しかし、一度散り散りになった断片が、徐々に集まってくると、また一つの塊となって、再び動き始めた。
『まずいぞ…。今の一撃でヤツの力が弱まったが、また誰かに取り憑くつもりだ。』
そうは言われても、私は力を出しきってしまい、今はまともに動く事が出来ない。
何とか香取君は、山下さんを連れて外に出ていたが、櫻井君は、手にした計器を見ながら、ポケットをあちらこちら探っていた。
そんな間にも、赤色の靄が、こちらに向かって移動してくる。
どうやら今度は、私を取り憑く対象に決めた様で、じわりじわりと私に近付いてきていた。
そんな私を守るかの様に、黒猫が私の前に出て、フーッ!という声で靄を威嚇したが、靄はそんなものを意に介さず、どんどんと私に近付いてくる。
何とかそれから逃れようと、私も必死に体を動かそうとするが、力が抜けてしまっている私は、ただもがく事しか出来なかった。
横にいる櫻井君に助けを求めようとしたが、声もまともに出せないぐらいに疲労しており、半ば、諦めかけていたその時!
唐突、眩い光が走った。
光はその一瞬、辺りを眩しくさせただけだったが、その光が影響したのか、靄が怯み、動きを止めた。
続けて今度は、私の横を誰かがすり抜け、赤色の靄に突進していった。
「ええい!邪なる存在よ、滅せよ!砕ッ!」
そう叫びながら、突進していった人影…なつきさんが、両手の指に挟んでいた数枚の紙を、力いっぱい叩きつけた。
グギャアアァァァァ!
赤色の靄は、なつきさんが叩きつけた紙切れに流れ込んでいた気の力を受けてか、細かく辺りへと散っていってしまった。
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