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ロストクロニクル8―7

[357]  五十嵐時  2009-10-17投稿
ウェドの問いに答えたのはタクトだった。
「それが・・・フラットを探しに行った先にこれが」
タクトがウェドの前にフラットがいつも着ていた真っ赤なローブを出してきた。
「どういうことだ」
ウェドがいつになく重量感のある声で問いかけた。
「一人で遠くまで行くような人間じゃない。多分、あの海賊達に襲われてたんじゃ・・・」
「死体が見つかった訳じゃねぇんだな?」
タクトはゆっくり頷いた。
「じゃあ大丈夫だ!なんだよ、心配したぜー死んじまったのかと思ったぜ」
ウェドの言葉で重い雰囲気は少し吹き飛んだ。
「だけど、拐われたとしたら厄介ね」
パールが薪に火を点けながらなんとなく呟いた。
その言葉を聞きながらタクトはなんとなく女性と男性の方を見た。そして、気付いた。
「パール、フラットはきっと僕たちの次の目的地に連れ拐われたんだ」
タクトは女性の右腕についていた、切られた手枷を指さした。
女性は突然指を指され驚いた顔をした。
「どういうこと?」
「僕たちがここに来たのは、ダイヤの鏡を見たからだろう?その時、手枷と足枷をつけられた人々がたくさんいた。つまり、この女性と男性は、あの鏡に写し出された島から来た人たちだ」
タクトは多分と付け加えると、パールとウェドの表情を伺った。
「う〜ん、確かにそれもあるかもしれねぇな。そうなると、あの島に海賊達が一癖噛んでることになるな」
「あの島で何が行われているのかは大体分かったわ。だけど・・・」
パールは少し黙ると続けた。
「だけど、この海の先には島は無いの」
タクトとウェドには何を言っているのか分からなかった。
パールはそんな二人を歯痒く思い、タクトに地図を借りた。
「見て」
地図を皆に見せた。そして、自分達のいる砂浜を指し、そのまま指を西の海へと走らせた。指はどこの土地に着くことも無く、地図の外へ出てしまった。
「地図に載ってないんだ。きっと、霧のせいだ」
タクトは鏡の中の霧にかかった島を思い出した。
「はぁ〜、なぁ、どうする?手掛かり無しだぜ」
寝転びだしたウェドにタクトは答えた。
「あるじゃないか」
自信満々な顔で女性と未だに起きない男性の方を見た。
「無理よ。言葉が分からないもの」
パールは再び地図に目を落す。
「仕方ねぇ、任せとけ!」
ウェドが元気良く立ち上がった。

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