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[418]  兼古 朝知  2009-10-17投稿
夜が明けかけた頃

走る 走る
君は走る
立ちこめる
深い霧の中へ

追う 追う
私は追いかける
薄れて聞こえる
君の足音を

霧の中
君が見えずに
足音も聞こえない
引き返そうにも
どちらから来たか
判らない
あたりはただ白くて

宛もなく
歩き回り
疲れて
立ち止まったら
背後から聞こえた
「諦めなよ」
振り返ればそこには
どす黒い私の影

逃げようとして
思い切り
駆けても
重い霧
振り払おうとしても
影はついてくる
霧は晴れない
夜はまだ明けない

暗い中で誰かが
呟いた「おやすみ」
あれは君か 影か

力尽き

膝をつき

地に伏し

気がつけば

夜は明け

霧は消えた

君も消えた

叫べども

喉が裂けども

君はいない

もう私の声以外に

音はない

涙は知らないうちに
渇れていた

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